「忘れていませんよ」 トヨタ社長が東北に寄り添う本当の復興とは
「その町一番の自動車会社」(豊田社長) もっとコアな部分まで一緒に
「忘れていませんよ」。トヨタ自動車の豊田章男社長は毎年この時期、東北の地を訪れ手を合わせる。
震災から6年。建物などの復興は進むが依然、行方不明者は多く、残された人たちの“心の復興”は大きな課題だ。「そういう方々の気持ちを理解はできないかもしれないが寄り添う努力をし、トヨタは何ができるのかを考えることが大事」。トヨタ首脳は東北の真の復興へ気持ちを新たにする。
トヨタにとって東北は中部、九州に次ぐ「国内第3の生産拠点」。震災の翌年に関東自動車工業、セントラル自動車、トヨタ自動車東北の3社が統合し、発足したトヨタ自動車東日本(TMEJ、宮城県大衡村)は、小型車の専門集団として単なるトヨタからの受託生産ではなく、開発から生産までを一貫して担える車体メーカーを目指している。
「その町一番の自動車会社」(豊田社長)を目指すトヨタだけに、東北で自動車産業基盤を強化し復興に貢献したいという思いも強い。
TMEJは15年に発売した小型ミニバン「シエンタ」で初めてアッパーボディーのデザイン・設計を担当するなど、着実に歩を進める。
トヨタは16年に社内カンパニー制を導入し、TMEJは小型車を担当する「トヨタ コンパクトカー カンパニー」(TCカンパニー)に組み入れられた。
トヨタの寺師茂樹副社長は、その理由について「もっとコアな部分まで一緒にやってもらって、一つのカンパニーの真ん中で働いてもらうのがいい」と説明する。トヨタの小型車戦略におけるTMEJの役割は、さらに大きくなりそうだ。
一歩前へ―。東北における自動車産業の拡大に伴って、地場企業参入の姿もみられる。各自治体も関連企業の集積化を進めながら、企業を支援している。 東北電子工業(宮城県石巻市)は2010年、ハイブリッド車(HV)向けの燃料電池樹脂ケースを新たに受注した。5年間で売上高が3倍に伸び、従業員も1・4倍に増えた。
大学と連携する企業もある。ミヤギタノイ(宮城県七ケ宿町)は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)向けのドリル開発で東北大学と連携する。
航空機部品用として開発したが「自動車関連への納入が先になるかも」(技術担当者)という。具体的な動きもあるが、裾野の広がりを実感できるかどうかは、これからにかかっている。
震災から6年。建物などの復興は進むが依然、行方不明者は多く、残された人たちの“心の復興”は大きな課題だ。「そういう方々の気持ちを理解はできないかもしれないが寄り添う努力をし、トヨタは何ができるのかを考えることが大事」。トヨタ首脳は東北の真の復興へ気持ちを新たにする。
トヨタにとって東北は中部、九州に次ぐ「国内第3の生産拠点」。震災の翌年に関東自動車工業、セントラル自動車、トヨタ自動車東北の3社が統合し、発足したトヨタ自動車東日本(TMEJ、宮城県大衡村)は、小型車の専門集団として単なるトヨタからの受託生産ではなく、開発から生産までを一貫して担える車体メーカーを目指している。
「その町一番の自動車会社」(豊田社長)を目指すトヨタだけに、東北で自動車産業基盤を強化し復興に貢献したいという思いも強い。
TMEJは15年に発売した小型ミニバン「シエンタ」で初めてアッパーボディーのデザイン・設計を担当するなど、着実に歩を進める。
トヨタは16年に社内カンパニー制を導入し、TMEJは小型車を担当する「トヨタ コンパクトカー カンパニー」(TCカンパニー)に組み入れられた。
トヨタの寺師茂樹副社長は、その理由について「もっとコアな部分まで一緒にやってもらって、一つのカンパニーの真ん中で働いてもらうのがいい」と説明する。トヨタの小型車戦略におけるTMEJの役割は、さらに大きくなりそうだ。
一歩前へ―。東北における自動車産業の拡大に伴って、地場企業参入の姿もみられる。各自治体も関連企業の集積化を進めながら、企業を支援している。 東北電子工業(宮城県石巻市)は2010年、ハイブリッド車(HV)向けの燃料電池樹脂ケースを新たに受注した。5年間で売上高が3倍に伸び、従業員も1・4倍に増えた。
大学と連携する企業もある。ミヤギタノイ(宮城県七ケ宿町)は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)向けのドリル開発で東北大学と連携する。
航空機部品用として開発したが「自動車関連への納入が先になるかも」(技術担当者)という。具体的な動きもあるが、裾野の広がりを実感できるかどうかは、これからにかかっている。
日刊工業新聞2017年3月10日「深層断面」を再編集