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圏央道、県内区間の全線開通で茨城はどう変わる?

日野自動車の「古河」は主力工場に。沿線工業団地への進出に期待
圏央道、県内区間の全線開通で茨城はどう変わる?

「通り初め」開通セレモニーでくす玉の下を通る日野自のトラック

 圏央道(首都圏中央連絡自動車道)の境古河インターチェンジ(IC、茨城県境町)―つくば中央IC(同つくば市)間28・5キロメートルが2月末に完成し、茨城県内全区間が開通した。総延長約300キロメートルのうち9割が完成。弧を描く形状の圏央道が東京から放射状に延びる東名高速、中央自動車道など6路線をつなぎ、首都圏内外とのアクセスが向上する。茨城県の橋本昌知事は「製造、物流など多くの事業に良い影響が及ぶことを期待する」と力を込める。

 1月に古河工場(茨城県古河市)が全面稼働したトラック大手の日野自動車。大・中型トラック生産のマザー工場と位置付け、新興国など海外向けを中心に製造する。2012年度から毎年50人程度を茨城県内の高校から採用しており、その一部は古河工場に勤務している。

 これに合わせて協力企業数社も周辺地域に進出し、地域の雇用増に好影響が期待される。日野自は地元中小企業との協力にも前向きで、同社広報は「今後部品調達などで必要が出れば地元企業との関わりも生まれるだろう」と話す。

 圏央道沿線への企業の進出は相次いでおり、16年にはファナックが筑西市、アイリスオーヤマ(仙台市青葉区)が阿見町の工業団地への立地を決めた。

 需要増に合わせて沿線の新たな工業団地の整備も進んでおり、坂東インター工業団地(坂東市)などが造成継続中だが分譲を始めた。ほかにも常総IC周辺地区(常総市)などが今後整備される予定だ。

 地元の中小企業も恩恵を受ける。鋼管などを製造する富田製作所(古河市)は、県南東部に位置する鹿島臨海工業地帯(鹿嶋市、神栖市)などに取引先がある。

 同社古河工場(古河市)からの運送ではこれまでつくば中央ICを使ったが、そこまでの一般道は混雑し、所要時間が読みにくく、目的地まで片道2時間半以上を要した。

 工場により近い境古河IC以東が開通したことで、これが40―50分縮まる。富田英雄社長は「時間短縮で取引先からの訪問もしやすくなるほか、ほかの営業に行ける数も増え、情報交換の密度も増すだろう」と話す。
(文=茨城支局・大原翔)
日刊工業新聞2017年3月10日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
ただ、圏央道の県内区間は現在、片側1車線の計2車線で「新たな混雑の懸念はある」と富田社長。橋本知事は「4車線化に向けた取り組みを国土交通省、NEXCO東日本に期待したい」と強調。石井啓一国土交通相は「開通を急ぐということでまずは2車線とした。交通量が増えればおのずと4車線化という方向になる」と語り、積極的な利用を呼びかけた。 (日刊工業新聞茨城支局・大原翔)

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