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清水建設、埋設管をARで“見える化”。工事の損傷防ぐ

年内には表示を3Dで埋設物の深さを表示。機能の高度化進める
清水建設、埋設管をARで“見える化”。工事の損傷防ぐ

現場の地下にある埋設物を”見える化”

 清水建設は地面の掘削が伴う工事で、地下に埋設してあるガス管や水道管などを可視化できるシステムの活用を進めている。タブレット端末の画面に映る現場の風景に、電子データなどを重ねる拡張現実(AR)の技術を使い地下埋設物を表示。正確に埋設物の位置を把握できるため、工事による埋設物の損傷を防げる。紙の図面で確認するのと比べ、作業の効率性も高まる。今後は重機との連動やARの3次元(3D)表示などに取り組み、機能をより高度化する考えだ。

 地下には上下水道管やガス管、送電ケーブル、電話線など、ライフラインに関わるさまざまな物が敷設されている。地面を掘削する工事では、これらを損傷しないように作業することが求められる。

 従来は紙の図面で埋設物の位置情報を見て、現地で確認。ただ埋設物を直接見られないため、見落としなどのミスが生じる可能性があった。最新の図面で確認しないと、現場の状況が変わっているおそれもあった。

 地下埋設物を可視化するシステムは2016年3月に、清水建設と菱友システムズ、茨城高専の岡本修准教授が共同開発した。タブレット端末、可視化用アプリケーション(応用ソフト)、全地球航法衛星システム(GNSS)位置検知システム、緯度・経度の情報を付与し、地下埋設物の図面を入れたクラウドデータベース(DB)などで構成する。

 システムの概要は、位置検知システムで作業者の正確な情報を把握。DBから作業者の周辺にある埋設物の図面データを抽出、タブレット上に、現地の風景画像に重ね合わせ、埋設物の位置を表示する。最新の図面情報を確認でき、図面を探す手間も省けるといった利点がある。

 現在は都内など5カ所の現場で運用している。使いやすくするため、位置情報の把握に使う受信機を小型・軽量化した。今後はタブレットで確認しながら、重機と連携して掘削作業を実施できるようにする。また自動車で移動しながら、埋設物の存在を確認できるシステム構築も検討する。
日刊工業新聞2017年3月6日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
17年中にはARの表示を3Dで「埋設物の深さを表示できるようにする」(清水建設の金丸清人土木技術本部開発機械部長)。さらに視野に入れているのが、3D技術であるコンストラクション・インフォメーション・モデリング(CIM)との連動だ。 CIMと組み合わせることで、さらにシステムの高度化を目指していくという。 (日刊工業新聞第二産業部・村山茂樹)

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