【連載】知っておきたい太陽電池のこと(第3回)「シャープが住宅用にこだわる理由」
(下)「2019年問題」太陽光発電は完全自家消費型へ、蓄電池・HEMSに商機
住宅用太陽光パネルにこだわるのはシャープだけではありません。太陽光発電を息長く活用する社会をつくるために住宅用太陽光の普及が欠かせません。ビジネスを長続きさせるためにも必要です。
(理由3)蓄電池を提案できるから
太陽光発電業界でじわじわとですが「2019年問題」に関心が向き始めています。(上)で触れましたが、余剰電力の買い取り制度は09年にスタートしました。余剰電力は10年間、同じ価格で電力会社に買ってもらえます。それが19年になると買い取りが終わる家庭が出てきます。買い取り終了後は余剰電力を買ってもらえる保証はありません。電力市場は自由化に進んでいるので、政府が電力会社に余剰電力の買い取りを指示できなくなります(おそらく)。
自由化市場なので、余剰電力の価格決定権は電力会社に移るはずです。09年から余剰電力の売電をスタートした家庭の買い取り価格(売電価格)は1キロワット時48円です。常識的に考えると家庭の電気代(仮に26円)よりも安くなるはずです。もしかすると電力会社が購入しないかもしれません。これが「2019年問題」です。
自宅の太陽光発電システムから売電ができなくなったらどうしますか? 太陽光パネルは屋根から取り外せません(メガソーラーなら撤去できるが)。きっと発電した電力を自宅で使おうと考えるはずです。
買い取り期間終了までに太陽光発電システムの購入費用は回収できているはずです。期間中は発電しても自宅で使い切れなかった余剰電力しか売電できませんでした。10年以降は売電をやめ、発電した電力すべてを自宅で使う完全自家消費型への移行が始まるでしょう。
太陽光パネルで発電した電力を夜間に活用するには蓄電池が必須です。日中、発電した電力を蓄電池にためておくと夜間に放電して利用できます。太陽光由来の電力はゼロ円です(投資回収が終わったとして)。太陽光由来の電力をフル活用すると、電気代の支払いを大幅に減らせます。おそらく電力料金は今よりも高くなっているはずなので、よりお得感が出ます。
パワーコンディショナー(※1、パワコン)の寿命もちょうど10年です。買い取り期間が終わり、パワコンの更新期を迎えた家庭に蓄電池を提案する。「太陽光の次は蓄電池」-。これがシャープをはじめとする太陽電池メーカーが住宅用太陽光パネルにこだわる理由です。
シャープはこれまで60万軒以上の住宅に太陽光発電システムを販売してきました(※2)。60万軒が蓄電池の潜在的な需要です。蓄電池の充電、放電をコントロールする家庭用エネルギー管理システム(※3)もセットで販売できます。
気になるのは蓄電池の価格です。メーカーや充電容量によって価格差がありますが、今は太陽光発電システム1台分の150万円くらいでしょう。太陽電池がそうだったように蓄電池の価格も下がっていきます。
19年になると初めから太陽光パネルを完全自家消費のために導入する家庭があらわれる可能性も十分にあります。太陽光パネルと蓄電池の価格低下、そして電力料金の上昇と、完全自家消費がお得になる条件がそろうからです。それに家庭ぐらいの電力需要だと完全自家消費型に適しています。そう考えると住宅用太陽光パネルの需要は堅調に続くと考えられます。
※1 パワーコンディショナーは日本語です。海外ではインバーターと呼ばれています。それは機能がインバーターそのものだからで、太陽光パネルが生み出した直流(DC)の電力を交流(AC)に変えます。電線や家庭内の配線はACなので、太陽光の電力を使うにはインバーター機能が必要です。
※2 12年4月時点で太陽光パネル搭載住宅は累計100万棟(太陽光発電協会)。現在は170万-180万棟と推定される。
※3 HEMS。家庭内の電力・ガスなどのエネルギー使用量を常時、計測してモニターなどに表示する装置。進化するとエアコンの運転を自動で調整したり、人がいない部屋の照明を消灯するなど、家庭内のエネルギーをコントロールする頭脳となります。
(理由3)蓄電池を提案できるから
太陽光発電業界でじわじわとですが「2019年問題」に関心が向き始めています。(上)で触れましたが、余剰電力の買い取り制度は09年にスタートしました。余剰電力は10年間、同じ価格で電力会社に買ってもらえます。それが19年になると買い取りが終わる家庭が出てきます。買い取り終了後は余剰電力を買ってもらえる保証はありません。電力市場は自由化に進んでいるので、政府が電力会社に余剰電力の買い取りを指示できなくなります(おそらく)。
自由化市場なので、余剰電力の価格決定権は電力会社に移るはずです。09年から余剰電力の売電をスタートした家庭の買い取り価格(売電価格)は1キロワット時48円です。常識的に考えると家庭の電気代(仮に26円)よりも安くなるはずです。もしかすると電力会社が購入しないかもしれません。これが「2019年問題」です。
自宅の太陽光発電システムから売電ができなくなったらどうしますか? 太陽光パネルは屋根から取り外せません(メガソーラーなら撤去できるが)。きっと発電した電力を自宅で使おうと考えるはずです。
買い取り期間終了までに太陽光発電システムの購入費用は回収できているはずです。期間中は発電しても自宅で使い切れなかった余剰電力しか売電できませんでした。10年以降は売電をやめ、発電した電力すべてを自宅で使う完全自家消費型への移行が始まるでしょう。
太陽光パネルで発電した電力を夜間に活用するには蓄電池が必須です。日中、発電した電力を蓄電池にためておくと夜間に放電して利用できます。太陽光由来の電力はゼロ円です(投資回収が終わったとして)。太陽光由来の電力をフル活用すると、電気代の支払いを大幅に減らせます。おそらく電力料金は今よりも高くなっているはずなので、よりお得感が出ます。
パワーコンディショナー(※1、パワコン)の寿命もちょうど10年です。買い取り期間が終わり、パワコンの更新期を迎えた家庭に蓄電池を提案する。「太陽光の次は蓄電池」-。これがシャープをはじめとする太陽電池メーカーが住宅用太陽光パネルにこだわる理由です。
シャープはこれまで60万軒以上の住宅に太陽光発電システムを販売してきました(※2)。60万軒が蓄電池の潜在的な需要です。蓄電池の充電、放電をコントロールする家庭用エネルギー管理システム(※3)もセットで販売できます。
気になるのは蓄電池の価格です。メーカーや充電容量によって価格差がありますが、今は太陽光発電システム1台分の150万円くらいでしょう。太陽電池がそうだったように蓄電池の価格も下がっていきます。
19年になると初めから太陽光パネルを完全自家消費のために導入する家庭があらわれる可能性も十分にあります。太陽光パネルと蓄電池の価格低下、そして電力料金の上昇と、完全自家消費がお得になる条件がそろうからです。それに家庭ぐらいの電力需要だと完全自家消費型に適しています。そう考えると住宅用太陽光パネルの需要は堅調に続くと考えられます。
※1 パワーコンディショナーは日本語です。海外ではインバーターと呼ばれています。それは機能がインバーターそのものだからで、太陽光パネルが生み出した直流(DC)の電力を交流(AC)に変えます。電線や家庭内の配線はACなので、太陽光の電力を使うにはインバーター機能が必要です。
※2 12年4月時点で太陽光パネル搭載住宅は累計100万棟(太陽光発電協会)。現在は170万-180万棟と推定される。
※3 HEMS。家庭内の電力・ガスなどのエネルギー使用量を常時、計測してモニターなどに表示する装置。進化するとエアコンの運転を自動で調整したり、人がいない部屋の照明を消灯するなど、家庭内のエネルギーをコントロールする頭脳となります。
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