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クロール泳ぎの抵抗増、速さの2乗でなく3乗に比例

筑波大と東工大が新しい推定法開発。今後ほかの泳法も測定
クロール泳ぎの抵抗増、速さの2乗でなく3乗に比例

回流水槽内で泳ぐ被験者の前後方向をワイヤで固定。ワイヤにかかる張力を基に抵抗を推定(筑波大提供)

 筑波大学体育系の高木英樹教授と東京工業大学工学院の中島求教授らは、遊泳中の泳者にかかる水の抵抗について、泳ぎ方を限定せずに推定する手法を開発した。筑波大の水泳部選手6人の協力を得て、クロールで泳ぐ際の抵抗力を調査。泳ぐ速さの2乗に比例して抵抗が増すとの従来の定説に対し、新手法による推定では速度の約3乗に比例して抵抗が増えるとの結果が出た。

 今後、この推定法で背泳ぎや平泳ぎ、バタフライなど他の泳法の抵抗も測定。世界トップ級の選手のデータとの比較などを通じ、各種目の成績向上に役立てる。

 成果は国際科学誌ジャーナル・オブ・バイオメカニクス電子版に掲載された。

 遊泳中の抵抗を測る既存の測定法には、体を一直線に伸ばした姿勢時の測定や、足を使わずに腕だけでクロールの動きをした際の測定などがある。

 ただ、泳法や泳ぐ速度に制限をかけずに抵抗を測定する手法は、確立されていないという。

 新開発の推定法は水が回流する水槽を使い、被験者には前後方向を伸縮性のあるワイヤで固定した状態で泳いでもらう。

 流速の変化に応じて前後のワイヤに生じる張力を基に抵抗力を推定する。
日刊工業新聞 2017年2月22日
斉藤陽一
斉藤陽一 Saito Yoichi 編集局第一産業部 デスク
 今回実験に参加した選手6人は、いずれも全国大会出場経験者。筑波大の高木教授によると、「クロールで泳いだ場合は、トップスイマーであっても、速度の3乗に比例するものと思われる」とのことです。

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