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三井住友とりそな接近か。関西地銀から「メガ再編」の可能性も

「子ども」の統合は「親」同士の関係にどんな影響をもたらすか
三井住友とりそな接近か。関西地銀から「メガ再編」の可能性も

日銀大阪支店周辺

三井住友フィナンシャルグループ(FG)とりそなホールディングス(HD)が系列の地方銀行を経営統合する方向で協議に入った。背景には国内の超低金利下で各金融機関が規模拡大による経営の効率化を模索する動きがある。収益環境に好転する兆しが見えない中での両社の接近は地銀にとどまらず、メガバンクも含めた再編に発展する可能性もある。

 「関西は再編に縁遠い場所とみていたが」。メガバンク関係者は今回の近畿大阪銀行、関西アーバン銀行、みなと銀行の統合協議に驚きを隠さない。関西は事業所や人口も多い上、バブル崩壊以降、金融機関の淘汰(とうた)が最も進んだ地域。各地銀トップも再編には慎重な見方を示していた。。

 日銀によるマイナス金利の導入もあり、低金利の長期化で銀行はビジネスモデルの転換を迫られている。3メガグループも例外ではない。

 三井住友FGは国内の人口が減少する中、2017年度から始める中期経営計画では国内の支店形態や系列地銀の見直しを検討する。国際金融規制が厳しくなる中、地銀2行を連結決算対象から外すことで、資産規模を抑える狙いもある。

 一方、りそなHDは以前から地銀との提携を深めており、3メガが海外に活路を見いだす中、傘下行の経営統合で顧客基盤の拡大につなげる方針だ。

 メガバンクが出資している地銀は三菱UFJフィナンシャル・グループを筆頭に数多く存在する。今後もメガが主要株主に名を連ねる銀行への再編の思惑が強まる可能性がある。

 17年には改正銀行法が施行されることで、グループ間の市場での資金運用や共通システムの管理など重複業務の集約が可能になる。 

 「合併せずに、銀行を持ち株会社傘下に並べるだけでも、シナジー(相乗効果)やコスト削減効果がこれまでに比べて段違いに大きくなる」(メガバンク幹部)。地銀再編の外堀は埋まる。
(文=栗下直也)

≪企業概要≫


<近畿大阪銀行>
 りそなホールディングス100%子会社の地方銀行。本店は大阪市中央区。1942年設立の近畿銀行と50年設立の大阪銀行が2000年に合併した。16年12月末時点の貸出金残高は3兆2322億円。従業員は2127人、店舗は120カ所(16年3月時点)。

<関西アーバン銀行>
 東証1部上場の第二地方銀行で、三井住友銀行の子会社。本店は大阪市中央区。1922年に設立。関西さわやか銀行と2004年に合併した。16年末時点の貸出金残高は3兆8306億円。従業員は2578人、店舗は138カ所(16年9月時点)。

<みなと銀行>
 東証1部上場の第二地方銀行で三井住友銀行の子会社。本店は神戸市中央区。1949年に設立。経営破綻した兵庫銀行受け皿のみどり銀行と99年に合併。2016年末時点の貸出金残高は2兆5348億円。従業員は2170人、店舗は105カ所(16年12月時点)。
日刊工業新聞2017年2月21日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
三井住友FG、りそなHD両社の接近は以前から囁(ささや)かれていた。「大手銀行5グループの中では、三井住友トラスト・ホールディングスとりそなHDの動向が焦点になっていた。今回、傘下地銀の統合協議で三井住友とりそなの距離感が分かった」(メガバンク関係者)との声もある。果たして、「子ども」の統合は「親」同士の関係にどのような影響をもたらすのだろうか。

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