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エアバスCEO、スカイマークの再生計画案に対し「われわれは債権者だ」

ほぼすべての債権者を棒引きする予定だが、発注6機の契約解除で約825億円の違約金求める
エアバスCEO、スカイマークの再生計画案に対し「われわれは債権者だ」

「再生計画案の内容を精査して結論を下したい」とブレジエCEO

 民事再生手続き中のスカイマーク(SKY)の大口債権者である、エアバスのファブリス・ブレジエCEO(最高経営責任者)は現地時間5月28日(日本時間同29日)、SKYが29日に東京地方裁判所へ提出予定の再生計画案について、「ただの債権者ではない」とけん制した。

 エアバスが28日に仏トゥールーズの本社で開いた報道関係者向けイベントで、Aviation Wireの質問に応じた。エアバスは2014年7月、SKYが発注していた6機の超大型機A380の契約をすべて解除。7億ドル(約825億円)の違約金を求めている。

 一方、SKYは債権者への弁済率を5%前後にするとみられ、ほぼすべての債権を棒引きする内容で調整している。再生計画の対象になる債権は、総額3000億円超となる見込み。

 ブレジエCEOは、「今ははっきりしたことは言えないが、ただの債権者ではないと考えている。再生計画案の内容を精査して結論を下したい」と語った。

 SKYが発注したA380については、同社が経営破綻した1月末の時点で、6機のうち初号機の飛行試験が数回行われており、2号機も途中まで製造が進んでいた。「(2機は)SKYの仕様で製造されており、機内レイアウトを変更する必要がある」と述べた。

 初号機と2号機について、ブレジエCEOは「これらの機体の顧客を見つけることになるだろう」と話し、現時点で新たな買い手が見つかっていないことを明らかにした。

 SKYはA380のほか、中大型機のA330-300をリース契約により、10機の導入を予定していた。このうち、7機を航空機リース会社のイントレピッド・アビエーションが、米国の金融サービス会社CITグループが3機をリースする予定だった。経営破綻の時点でSKYが受領していたのは5機で、大口債権者であるイントレピッドは4機をリースしていた。

 エアバスのトゥールーズ工場には、完成し引き渡し目前だったとみられるA330が1機と、機体側面に「SKYMARK」とロゴを入れる作業を残した機体の2機が、現在も駐機されている。

 SKYの再生を支援するANAホールディングス(9202)は、イントレピッドが求めていたA330の導入を否定しており、イントレピッド側はANAが関与する現在の再生計画案に難色を示している。

 人事面では、投資ファンドのインテグラルの佐山展生代表が、代表権を持つ会長就任に強い意欲を示している。同じく代表権を持つ社長には、三井住友銀行と折半で投資ファンドを設立する日本政策投資銀行の役員を起用する方向で調整が進んでいる。政投銀と三井住友銀行は、重要議案に対する拒否権を持つ見通し。

 SKYへの出資比率は、インテグラルが50.1%、政投銀と三井住友銀行によるファンドが33.4%、ANAHDが16.5%となる見通し。ANAHDは公正取引委員会と協議し、出資比率を抑え、役員やOBを社長として送り込むことも見送った。

 再生計画案では、SKYと全日本空輸によるコードシェア実施も盛り込まれるが、具体的な路線などはまとまっておらず、今後協議していく。
吉川忠行
吉川忠行 Yoshikawa Tadayuki Aviation Wire 編集長
スカイマークが今日提出予定の再生計画案。大口債権者のひとつであるエアバスのブレジエCEOに取材しました。トゥールーズの本社工場には、引き渡し間近だったスカイマークのA330が駐機されています。

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