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東芝の地銀債権、主力2行が肩代わり

5社前後が融資継続に懸念
東芝の地銀債権、主力2行が肩代わり

会見する東芝の綱川智社長(14日)

 三井住友銀行みずほ銀行東芝主力2行は、東芝の取引先金融機関が協調融資の継続を断念した場合、債権を買い取る意向であることが15日までにわかった。東芝は15日に取引先金融機関と会合を開き、協調融資の3月末までの延長を要請した。主力行を中心に大半は融資延長に応じる方針だが、経営体力に乏しい地方銀行などが離脱する可能性が出てきている。

 協調融資の残高は2016年末時点で2800億円規模。東芝の格付け引き下げに伴い、銀行の融資条件に抵触したため、東芝は借入金の返済を求められていた。1月に融資残高維持を銀行に要請し、2月末までの維持が決まっていた。

 1月の会合では80社以上の取引金融機関のうち、5社前後が融資継続に懸念を示していた。主力行幹部は「(離脱する金融機関があっても小口債権が多く買い取りが可能で)資金繰りには全く問題がない」としている。

「全体の支援、問題は全く起きない」(主力行幹部)


 東芝は15日午前、三井住友銀行やみずほ銀行など取引先金融機関を東京都内の本社に集めて会合を開いた。米原子力発電事業の損失が7000億円超に上った経緯などを説明し、2月末が期限となっている協調融資の3月末までの延長を要請した。主力行は延長に応じる姿勢を示したが、一部の金融機関からは不満が漏れた。

 会合は午前10時30分から1時間を予定していたが、終了時間は40分ほど超過した。参加金融機関からは、東芝側の情報開示や再建策への質問が相次いだ。

 協調融資の残高は2016年末時点で2800億円規模。東芝の格付け引き下げに伴い、銀行の融資条件に抵触したため、東芝は借金返済を求められていた。1月に融資残高維持を銀行に要請し、2月末までの維持が決まっていた。

 前回1月の会合では80社以上の取引金融機関の内、5社前後が融資継続に懸念を示していた。今回、融資延長を承諾すれば、3月末の決算時期をまたぐため、体力に乏しい地銀からは主力行へ債権の買い取りを求める動きが出てくる可能性もある。

 ただ、主力行は債権を買い取る意向を示しており「全体の支援の枠組みには問題は全く起きない」(幹部)としている。
日刊工業新聞2017年2月16日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
債務超過や経営破綻リスクに目が行きがちな今回の問題だが、東京証券取引所の「特設注意市場銘柄」の問題も依然として横たわっている。銀行の支援や事業切り売りで3月末の債務超過を回避できたとしても、特注の指定解除とは別問題だ。昨年末の解除見送りは「海外の内部体制にさらに確認を要する」(清田瞭日本取引所グループCEO〈最高経営責任者〉)との理由からだった。東証内部からは、「東芝の内部体制が改まったと証明しにくい」「指定解除をすれば東証の審査体制が疑問視される」との声も上がる。市場では「特注解除による上場維持は困難」と見る向きが大勢だ。 (日刊工業新聞経済部・鳥羽田継之)

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