2017年度 自治体予算のポイント教えます《#03》
愛知県、静岡県、栃木県
**【愛知県】車・航空機に重点配分 成長分野を育成
愛知県は13日、自動運転車の実証試験や中小企業の資金繰り支援強化策などを盛り込んだ2017年度当初予算案を発表した。産業労働分野は前年度比0・3%減の2096億円とほぼ横ばいだが、成長分野に予算を重点投下し、「産業首都あいち」の地位をさらに固める。
次世代産業の育成では、遠隔型の自動運転車の走行実証に加え、自動運転車が他産業に及ぼす影響などを調査する。国産小型ジェット旅客機「MRJ」の駐機場整備や、商談会「エアロマート名古屋2017」への出展支援など航空宇宙産業の育成も進める。
中小企業関連では県の制度融資の金利を原則0・3%下げる。クラウドファンディングを活用した資金調達の支援制度も新設し金融機関の融資実現につなげる。このほか中部国際空港(愛知県常滑市)近隣の国際展示場着工に向けた49億円などを計上。一般会計総額は前年度比0・2%減の2兆5209億円。
《愛知県、自動運転「レベル4」実証−遠隔操作型、実用化を支援》
愛知県は13日、今夏をめどに運転席に人のいない遠隔操作型の自動運転車の実証実験を始めると発表した。米当局や内閣府の定める定義では「レベル4」(完全自動運転)にあたる。16年度に県内15市町で実施した「レベル3」の自動運転車両の走行試験をさらに高度化し、自動運転技術の早期の実用化を支援する。
13日発表した17年度当初予算案に事業費として1822万円を盛り込んだ。まずは公園内の道路など閉鎖空間で実証を進め、年度内に過疎地などの公道でも走行実験をする計画だ。「走る・曲がる・止まる」の基本機能をすべて車載の自動運転システムが担う一方、緊急時は遠隔操作で人が止められるようにする。事業者は公募し、5月めどに決定する。
人が運転に関与しない完全自動運転車の公道試験を巡っては、警察庁が16年度内をめどに実験ルールを策定する方向だ。トヨタ自動車や日産自動車など自動車各社は、20年前後の実用化をめどに自動運転車両の開発を進めており、国際競争は激化している。大村秀章愛知県知事は「全国に先駆けて実証を開始し、自動車産業の高度化を促進する」と述べた。
静岡県は13日、企業立地助成の拡充のほか、次世代成長産業と位置づける医療健康、光・電子技術、セルロースナノファイバー(CNF)などの振興を盛り込んだ2017年度当初予算案を発表した。産業構造の多極化を加速させる。
新規産業立地と地域産業立地を合わせた助成費を50億円(前年度37億円)に拡充し企業誘致と定着を図る。次世代産業育成では医療健康拠点づくりを進めるファルマバレープロジェクトの支援機能強化として、中核支援機関のファルマバレーセンターを現組織から独立し、8月に法人化する。
光・電子技術では4月に、浜松地域イノベーション推進機構内に中核支援機関を設置するなど推進事業費に6460万円、CNFは寄付講座など事業推進で7000万円を計上した。
一般会計は前年度比2・8%減の1兆2058億円(権限委譲に伴う教職員関係経費を除き同0・1%増の1兆2416億円)。
栃木県は2017年度、ロボット実証フィールドの整備とシステム構築人材の育成に乗り出す。自社で実践的な検証ができない中小企業などに開発・実証環境を提供する。IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)などのスキルを習得したシステムインテグレーターも育成・研修する。これらの事業費を含め、17年度当初予算案に「ロボット関連産業創出等支援事業費」として1225万9000円を盛り込んだ。
実証フィールドは旧県立粟野高校(栃木県鹿沼市)などに複数設置する。利用企業はロボットを試験運用し、製品化を目指す。他県でも同様の施策はあるが、システムインテグレーターの育成に取り組むことで差別化する。「新しい産業に対応する人材を育成、確保すれば企業誘致の呼び水になる」(産業労働観光部)とみている。
栃木県にはファナックやカワダロボティクス(東京都中央区)などロボット産業が集積しており、成長産業として位置づけている。フォーラムや懇談会を組織し、“ロボット立県”に弾みをつける。
17年度予算の一般会計は前年度比0・3%減の約8159億8000万円で4年ぶりのマイナス。産業労働観光部関連は同1・4%減の761億61431万円。
《#02》神奈川県、長野県、沖縄県
《#01》千葉県、群馬県、横浜市、川崎市、さいたま市、静岡市
愛知県は13日、自動運転車の実証試験や中小企業の資金繰り支援強化策などを盛り込んだ2017年度当初予算案を発表した。産業労働分野は前年度比0・3%減の2096億円とほぼ横ばいだが、成長分野に予算を重点投下し、「産業首都あいち」の地位をさらに固める。
次世代産業の育成では、遠隔型の自動運転車の走行実証に加え、自動運転車が他産業に及ぼす影響などを調査する。国産小型ジェット旅客機「MRJ」の駐機場整備や、商談会「エアロマート名古屋2017」への出展支援など航空宇宙産業の育成も進める。
中小企業関連では県の制度融資の金利を原則0・3%下げる。クラウドファンディングを活用した資金調達の支援制度も新設し金融機関の融資実現につなげる。このほか中部国際空港(愛知県常滑市)近隣の国際展示場着工に向けた49億円などを計上。一般会計総額は前年度比0・2%減の2兆5209億円。
《愛知県、自動運転「レベル4」実証−遠隔操作型、実用化を支援》
愛知県は13日、今夏をめどに運転席に人のいない遠隔操作型の自動運転車の実証実験を始めると発表した。米当局や内閣府の定める定義では「レベル4」(完全自動運転)にあたる。16年度に県内15市町で実施した「レベル3」の自動運転車両の走行試験をさらに高度化し、自動運転技術の早期の実用化を支援する。
13日発表した17年度当初予算案に事業費として1822万円を盛り込んだ。まずは公園内の道路など閉鎖空間で実証を進め、年度内に過疎地などの公道でも走行実験をする計画だ。「走る・曲がる・止まる」の基本機能をすべて車載の自動運転システムが担う一方、緊急時は遠隔操作で人が止められるようにする。事業者は公募し、5月めどに決定する。
人が運転に関与しない完全自動運転車の公道試験を巡っては、警察庁が16年度内をめどに実験ルールを策定する方向だ。トヨタ自動車や日産自動車など自動車各社は、20年前後の実用化をめどに自動運転車両の開発を進めており、国際競争は激化している。大村秀章愛知県知事は「全国に先駆けて実証を開始し、自動車産業の高度化を促進する」と述べた。
【静岡県】立地助成に50億円に拡充 医療や光・電子産業を振興
静岡県は13日、企業立地助成の拡充のほか、次世代成長産業と位置づける医療健康、光・電子技術、セルロースナノファイバー(CNF)などの振興を盛り込んだ2017年度当初予算案を発表した。産業構造の多極化を加速させる。
新規産業立地と地域産業立地を合わせた助成費を50億円(前年度37億円)に拡充し企業誘致と定着を図る。次世代産業育成では医療健康拠点づくりを進めるファルマバレープロジェクトの支援機能強化として、中核支援機関のファルマバレーセンターを現組織から独立し、8月に法人化する。
光・電子技術では4月に、浜松地域イノベーション推進機構内に中核支援機関を設置するなど推進事業費に6460万円、CNFは寄付講座など事業推進で7000万円を計上した。
一般会計は前年度比2・8%減の1兆2058億円(権限委譲に伴う教職員関係経費を除き同0・1%増の1兆2416億円)。
【栃木県】ロボ実証環境整備と人材育成に重点
栃木県は2017年度、ロボット実証フィールドの整備とシステム構築人材の育成に乗り出す。自社で実践的な検証ができない中小企業などに開発・実証環境を提供する。IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)などのスキルを習得したシステムインテグレーターも育成・研修する。これらの事業費を含め、17年度当初予算案に「ロボット関連産業創出等支援事業費」として1225万9000円を盛り込んだ。
実証フィールドは旧県立粟野高校(栃木県鹿沼市)などに複数設置する。利用企業はロボットを試験運用し、製品化を目指す。他県でも同様の施策はあるが、システムインテグレーターの育成に取り組むことで差別化する。「新しい産業に対応する人材を育成、確保すれば企業誘致の呼び水になる」(産業労働観光部)とみている。
栃木県にはファナックやカワダロボティクス(東京都中央区)などロボット産業が集積しており、成長産業として位置づけている。フォーラムや懇談会を組織し、“ロボット立県”に弾みをつける。
17年度予算の一般会計は前年度比0・3%減の約8159億8000万円で4年ぶりのマイナス。産業労働観光部関連は同1・4%減の761億61431万円。
《#02》神奈川県、長野県、沖縄県
《#01》千葉県、群馬県、横浜市、川崎市、さいたま市、静岡市
日刊工業新聞2017年2月10、14日