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日本電産の永守さんの次男が仕掛けるロボット事業

MJIがコミュニケーションロボ普及へ、年内10万台狙う
日本電産の永守さんの次男が仕掛けるロボット事業

2000万の画像データを学習済みの「タピア」。視覚認識に優れている点が強み

 MJI(東京都港区、トニー・シュウ社長)は、独自のコミュニケーションロボット「タピア」の普及台数を現状の1000台強から2017年12月末までに10万台に引き上げる。国内外で法人向け需要が急増する見通し。機能拡充を狙いアプリケーションの開発キット(SDK)も今春から配布する。ビジョンの機能を持ち味に用途を増やして普及を加速する。

 タピアは高さ約25センチメートル、重さ2・5キログラム。顔の部分がタッチパネルになっており、日本語、中国語、英語での音声対話と画面を使ったやりとりができる。価格は9万8000円(消費税抜き)。

 クラウドコンピューティングで知能化している。人工知能(AI)を使い、内部のカメラに写った物や人の認識の精度が高いことが特徴だ。すでに「2000万の画像データを学習済みで、家庭内の多くの物を認識できる」(永守知博代表取締役)という。

 法人で使うコミュニケーションロボットでは低価格で、視覚の認識に優れた点が評価され、多くの企業と採用に向けた調整に入っている。

 数十台単位の採用も見込めるなど、普及のピッチが加速する見通しという。国内ではハウステンボス(長崎県佐世保市)が接客業務で導入している。

 SDKはアプリ開発者に向け有償で提供する。開発コミュニティーを作り、アプリ群を拡充する。現状は人の手の形を認識する機能を使ったじゃんけんや、遠隔化からの見守りと音声対話、スケジュール管理や写真の撮影などの機能を持つ。

 今後は外部のアイデアを採り入れ、より法人利用で役立つアプリや、外部機器と連携した業務システムの構築なども狙う。MJIは15年7月に設立したロボットベンチャー企業。
日刊工業新聞2017年2月10日
石橋弘彰
石橋弘彰 Ishibashi Hiroaki 第一産業部
MJIは1月、MJIの共同創業者で、エルステッドインターナショナル社長の永守知博氏を代表取締役に迎えた。これまでは黒子としてサポートしてきたが、いよいよ表だってMJIの経営に関わる。理由を聞くと「エルステッドの経営基盤がしっかりしたところに、大きな可能性を秘めたロボットができあがった」ためだという。それだけタピアに期待をしているのだろう。氏は日本電産の永守重信社長の次男として知られる。周囲はどうしても父親と比べてしまいがち。だが、そうした雑音と関係なく、サービス業界を「面白く」してもらいたい。

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