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決して引きこもらず、敵を殻で殴りつけるカタツムリ

北海道とロシアで“脳筋タイプ”を発見
決して引きこもらず、敵を殻で殴りつけるカタツムリ

脳筋カタツムリ「エゾマイマイ」

 カタツムリといえば、危険が迫ると殻に閉じこもってやり過ごすのが一般的なイメージだ。ところが、自分の殻で敵を殴りつける好戦的なカタツムリが発見された。天敵のオサムシが近づくと殻を振り回し、相手をノックアウトする。決して引きこもらない。

 北海道大学の森井悠太学術研究員は北海道とロシアで“脳筋タイプ”のカタツムリを発見した。どちらのカタツムリも筋肉質で視力が弱く、反射的に戦う。外見も行動もそっくりだが、遺伝子解析から別々に進化したことが分かった。

 脳筋カタツムリは「子どものころから殻を振り回す。この行動は遺伝子に刻まれている」のだという。ただ、殻の巻き数が体に比べて少なく、引きこもろうにもこもりきれない事情がある。闘争は必然だった。「引きこもりとの中間種はいない。とがっていないと生き残れないのだろう」。
日刊工業新聞科2017年2月3日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
ロシアと北海道のカタツムリはそれぞれ別々に進化して、同じ脳筋タイプになりました。姿・形だけでなくオサムシに好戦的なところも同じ境地に達しています。さらに個体が学習して戦いを選ぶのではなく、幼い頃から殻で殴ろうとします。自然淘汰では例外的な個体が生まれては、それが生き残って、新しい系統をつくっていくわけですが、ロシアと北海道で同じ境地に達するのはどのくらいの確率なのか。それぞれ進化に何年くらいかかったのか。殻で殴っても鳥やネズミには勝てないのにと思ってしまいます。もしかしたら脳筋タイプは世界中にいて、カタツムリへのステレオタイプを見直さないといけないかもしれません。 (日刊工業新聞科学技術部・小寺貴之)

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