ファイバーレーザー後発のファナック、わずか1年で製品化できた理由
CO2式で高シェアも市場急拡大。古河電工との連携が功を奏す
ファナックがレーザー発振器事業で攻勢をかけている。普及が進むファイバーレーザーへの参入を2015年に表明し、翌16年にラインアップを拡充。コンピューター数値制御(CNC)装置やロボットとの連携を強みに、ユーザー開拓を図っている。従来は二酸化炭素(CO2)レーザーを得意としていたが、ファイバー市場の急拡大を受け方針を転換。約1年の短期間で製品化にこぎ着けた。
「6―7年ほど前から普及が加速してきた」―。西川祐司執行役員レーザ研究所長はファイバー参入の理由をこう説明する。薄板加工の高速化などが可能なメリットにより、ファイバー式が急速に台頭。CO2式で高シェアを誇ってきたファナックも、戦略の変更を迫られていた。
こうした背景から同社はファイバーレーザー発振器の開発に着手。その約1年後の15年に出力2キロ―3キロワットの機種を第1弾として公開した。また16年には同6キロワットの「FF6000i―モデルA」など大出力機も投入。矢継ぎ早の展開で業界関係者らを驚かせた。
短期間で開発を成し遂げた要因の一つが、ファイバー式で実績を持つ古河電気工業との連携だ。古河電工の半導体技術、発振技術などを取り入れつつ、制御、電源、機械などでは自社の既存技術を存分に活用した。
ただ、苦労もあった。「レーザー側の全信号をCNCに最適化するのが、難しかった」と西川所長は振り返る。古河電工やCNCの開発部隊から指導を受けつつ、試行錯誤を経て最適な仕組みを生み出したという。
製品化においては、ファナックが高い競争力を持つロボットとの連携も重視した。自社の強みを前面に出し、新市場で存在感を発揮することが狙い。
FA事業本部副事業本部長の野田浩専務も「ロボットとの組み合わせにより、狙える市場は非常に大きくなる」と期待する。レーザーロボットシステムの普及に伴い、同社の強力な武器になるかもしれない。
(文=藤崎竜介)
「6―7年ほど前から普及が加速してきた」―。西川祐司執行役員レーザ研究所長はファイバー参入の理由をこう説明する。薄板加工の高速化などが可能なメリットにより、ファイバー式が急速に台頭。CO2式で高シェアを誇ってきたファナックも、戦略の変更を迫られていた。
こうした背景から同社はファイバーレーザー発振器の開発に着手。その約1年後の15年に出力2キロ―3キロワットの機種を第1弾として公開した。また16年には同6キロワットの「FF6000i―モデルA」など大出力機も投入。矢継ぎ早の展開で業界関係者らを驚かせた。
短期間で開発を成し遂げた要因の一つが、ファイバー式で実績を持つ古河電気工業との連携だ。古河電工の半導体技術、発振技術などを取り入れつつ、制御、電源、機械などでは自社の既存技術を存分に活用した。
ただ、苦労もあった。「レーザー側の全信号をCNCに最適化するのが、難しかった」と西川所長は振り返る。古河電工やCNCの開発部隊から指導を受けつつ、試行錯誤を経て最適な仕組みを生み出したという。
製品化においては、ファナックが高い競争力を持つロボットとの連携も重視した。自社の強みを前面に出し、新市場で存在感を発揮することが狙い。
FA事業本部副事業本部長の野田浩専務も「ロボットとの組み合わせにより、狙える市場は非常に大きくなる」と期待する。レーザーロボットシステムの普及に伴い、同社の強力な武器になるかもしれない。
(文=藤崎竜介)