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急増する前立腺がん、最適療法とは

比較的簡単な検査で発見。50歳を超えたら一度はPSAを
急増する前立腺がん、最適療法とは

最新鋭のロボットを使った前立腺がん手術も始まっている

 前立腺がんは、黒人、白人、アジア人の順に多い病気です。欧米人に発生率が高く、肉や乳製品の摂りすぎなど、高脂肪の食事がリスクを高めると考えられています。近年日本でも、食生活の欧米化や高齢化社会の進展、検診の普及などで前立腺がんの患者が急増しています。

 国立がん研究センターの 「2015年がん罹患(りかん)率・死亡者数予測」では、男性において、前立腺がんは胃がん、肺がんを抜いて罹患率(がんと診断された人数の割合)第1位となりました。最近では中年以降の男性が最も注意しなければならない“がん”のひとつということです。

 そもそも前立腺とは何でしょうか? 前立腺は膀胱(ぼうこう)から尿道への出口に存在し、尿道が中を通っています。通常クルミぐらいの大きさで、精液の一部である粘液を作っています。射精したときに出る精液は精子だけでなく、その精子を守るために前立腺液が含まれています。前立腺肥大症は、貫通している尿道が圧迫されて狭くなり、おしっこの出が悪くなります。

 前立腺肥大症が悪化すると前立腺がんになるのではと考える人がいますが、大きな勘違いです。前立腺がんと前立腺肥大は発生する場所も異なれば、性質も異なります。前立腺がんは初期にほとんど症状はなく、最近は検診などでPSA(前立腺特異抗原)という前立腺がんの腫瘍マーカーを測定することで見つかるケースがほとんどです。

 それでは、前立腺がんの診断はどのように行われるのでしょうか?先ほどのPSAの値が高かった場合(通常正常値は4・0未満)、前立腺がんの存在が疑われますが、正常値を超えたからといってすべての人が、がんというわけではありません。

 グレーゾーンと言われるPSA4・0―10の範囲の人に、がんのある可能性はまだ30―40%です。これ以上でも、がんとは限りません。直腸診(直腸に指を入れて前立腺を触診する検査)やMRI(磁気共鳴断層撮影装置)検査、超音波検査などを行い、がんが疑われた場合に、前立腺生検を行い最終的に診断します。

 生検は前立腺周囲への局所麻酔、または脊椎麻酔、全身麻酔をかけて前立腺に直接ハリを刺し、組織を採取し顕微鏡でがん細胞の有無を確認します。生検の結果、がんと判明した場合は進行度を調べるために、CT(コンピューター断層撮影装置)検査やMRI検査、前立腺がんは骨転移を起こす事が多いので骨シンチグラフィーなどを行います。

 前立腺がんは比較的簡単な検査で発見する事ができます。自覚症状がなくても、50歳を超えたら一度はPSAの検査を行う事をお勧め致します。

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明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
一度、残尿感にあって泌尿器科に検診に行ったことがある。特に前立腺に異常もなく、医師に冬場はそういう感覚になりがちと言われた。その後すぐに残尿感はなくなった。気持ち、精神的な部分もかなりあるのだろう。

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