皮膚やおしっこの色に注意すべきがんとは
なかなか早期発見がしにくい胆道がん。新薬の登場で予後の改善に期待
胆道がんの話をいたします。まず、胆道がどこにあり、どんな働きをするのかというと、胆道は肝臓から分泌された胆汁が通る管を指し、肝外胆管、胆嚢(たんのう)、十二指腸乳頭部のことを言います。
肝外胆管は肝臓から十二指腸まで胆汁が通る管のことで、長さは約10センチ―15センチメートルで0・5センチ―1センチメートルの太さです。胆嚢は胆汁を一時的に貯めて濃縮する小ナス程の袋状の臓器で、食事をすると胆嚢が萎んで胆汁を胆管から十二指腸に放出し消化吸収を助けます。十二指腸乳頭部は胆管が十二指腸に開口し、膵管と合流する部分にあります。
胆道がんの症状は、黄疸(おうだん)、腹痛、体重減少などですが、初期には無症状なことも多いとされています。病状が進んでくると胆汁が腸内に流れなくなり、黄疸が進み皮膚が黄染し尿は褐色となり、便は白っぽくなってきます。
こうした症状から胆道がんを疑った場合は、まず血液検査で肝胆道系に異常があった場合に上がる酵素の値や黄疸の有無をみます。
次に腹部超音波検査、腹部造影CT検査やMRI検査などを行い、胆管の狭窄(きょうさ)や胆嚢の腫瘍が存在すれば胆道がんの可能性が高くなります。そして胆汁を採取し胆汁細胞診や狭窄・腫瘍部分の組織診を行いがんの確定診断を行います。
治療は、黄疸が強い時はまず胆道内にチューブを入れて貯留した胆汁の排出を行います。これを減黄処置といいます。落ち着いてから手術を行いますが、必ずしも診断=手術とは限りません。
肝臓に転移したり、周囲臓器や血管に広範囲に浸潤している場合は、化学療法を選択せざるを得ません。外科的治療法である手術は、腫瘍が十二指腸寄りにあった場合、膵頭十二指腸切除術(肝外胆管、胆嚢、膵頭部、十二指腸を切除する手術)となり、腫瘍が肝臓寄りまたは胆嚢にあれば肝切除を伴った胆管・胆嚢切除術を行います。
最近まで胆道がんの抗癌剤は効果が乏しく予後も厳しいものでしたが、近年、新薬の登場により予後の改善が期待されるようになってきました。
胆道がんも膵臟がんと同じく、なかなか早期発見がしにくいがんの一つです。検診などの採血で肝胆道系酵素の値や黄疸値に異常があったり、尿の黄染が続くような時は、画像検査をお勧めします。
(文=星野弘樹・平成立石病院外科部長)
肝外胆管は肝臓から十二指腸まで胆汁が通る管のことで、長さは約10センチ―15センチメートルで0・5センチ―1センチメートルの太さです。胆嚢は胆汁を一時的に貯めて濃縮する小ナス程の袋状の臓器で、食事をすると胆嚢が萎んで胆汁を胆管から十二指腸に放出し消化吸収を助けます。十二指腸乳頭部は胆管が十二指腸に開口し、膵管と合流する部分にあります。
胆道がんの症状は、黄疸(おうだん)、腹痛、体重減少などですが、初期には無症状なことも多いとされています。病状が進んでくると胆汁が腸内に流れなくなり、黄疸が進み皮膚が黄染し尿は褐色となり、便は白っぽくなってきます。
こうした症状から胆道がんを疑った場合は、まず血液検査で肝胆道系に異常があった場合に上がる酵素の値や黄疸の有無をみます。
次に腹部超音波検査、腹部造影CT検査やMRI検査などを行い、胆管の狭窄(きょうさ)や胆嚢の腫瘍が存在すれば胆道がんの可能性が高くなります。そして胆汁を採取し胆汁細胞診や狭窄・腫瘍部分の組織診を行いがんの確定診断を行います。
治療は、黄疸が強い時はまず胆道内にチューブを入れて貯留した胆汁の排出を行います。これを減黄処置といいます。落ち着いてから手術を行いますが、必ずしも診断=手術とは限りません。
肝臓に転移したり、周囲臓器や血管に広範囲に浸潤している場合は、化学療法を選択せざるを得ません。外科的治療法である手術は、腫瘍が十二指腸寄りにあった場合、膵頭十二指腸切除術(肝外胆管、胆嚢、膵頭部、十二指腸を切除する手術)となり、腫瘍が肝臓寄りまたは胆嚢にあれば肝切除を伴った胆管・胆嚢切除術を行います。
最近まで胆道がんの抗癌剤は効果が乏しく予後も厳しいものでしたが、近年、新薬の登場により予後の改善が期待されるようになってきました。
胆道がんも膵臟がんと同じく、なかなか早期発見がしにくいがんの一つです。検診などの採血で肝胆道系酵素の値や黄疸値に異常があったり、尿の黄染が続くような時は、画像検査をお勧めします。
(文=星野弘樹・平成立石病院外科部長)
日刊工業新聞2016年5月20日