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株主「日産・スズキ・三菱」の再編、AT世界首位に近づく?遠のく?

中塚晃章ジヤトコ社長に聞く。「EV化は考えているよりも早く進む」
株主「日産・スズキ・三菱」の再編、AT世界首位に近づく?遠のく?

ジヤトコホームページより

 ―2016年度の自動変速機(AT)、無段変速機(CVT)の合計生産台数見通しは。
 「15年度の525万台から微増の見込み。もう少し高い伸びを想定したが、軽自動車向けが伸び悩んだ。下期に挽回し、若干増で着地できそうだ。20年に“ATメーカーグローバルナンバーワン”を目指す中で、具体的な課題が見えてきた。重要市場の米国、中国での新規顧客を含め、販路開拓に力を入れる」

 ―トヨタ自動車スズキの業務提携検討の影響をどう見ますか。
 「手を握ることは決まったが、まだ中身ははっきりとしていない。短期で大きな影響があるとは思わない」

 ―タイ、中国、メキシコの生産状況は。
 「中国、メキシコは生産能力に近い水準にある。タイは稼働率約60%と回復しておらず、17年度も大きな回復が難しい。社員の習熟度は高まっており、回復すれば成長の大きなドライバーになる」

 ―生産増強予定は。
 「動向を慎重に見極め、必要な時にすぐに手が打てるよう検討している。増強する場合、メキシコは第2工場の拡張で対応する。中国は土地がないため第2工場が必要となる」

 ―電気自動車(EV)への対応は。
 「EV化は考えているよりも、早く進むというのが一致した見方だ。変速機能があることで走行距離が伸びるなど、EVの性能がアップする。開発の力とスピードを高め、EVを想定した変速機を20年以降に市場に出す」
中塚晃章社長



日刊工業新聞2017年1月24日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
日産系だが株主の三菱自動車、スズキなど納入先は多岐にわたる。ATとCVTの合計生産台数が800万―900万台になれば、ATメーカー世界首位も見えるが、ここ数年は伸びが鈍り厳しい状況。新規需要先開拓など自ら道を開くことが成長のカギを握る。 (日刊工業新聞静岡支局長・伊奈淳一)

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