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ANAとトヨタ紡織、国内線に新シート投入! 両社長が座り心地体感

座面低く、クッションしっかり。トヨタ紡織のシートが航空機用で採用されるのは初めて
ANAとトヨタ紡織、国内線に新シート投入! 両社長が座り心地体感

ANAがトヨタ紡織と共同開発した国内線用普通席の新シート

 全日本空輸(ANA)は5月26日、トヨタ紡織と共同開発した国内線普通席用の新シートを搭載したボーイング767-300型機の初号機を就航させた。初便はトヨタ紡織のお膝元、名古屋の中部空港(セントレア)から羽田空港へ向かうNH86便が選ばれ、ANAの篠辺修社長とトヨタ紡織の豊田周平社長も搭乗。初便で座り心地を体感した。

 新シートは座り心地を重視し、どのような体格の人にもフィットするものを目指した。トヨタ紡織は自動車用シートを手掛けており、最近では北陸新幹線の上級クラス「グランクラス」用シートが採用されたが、航空機用シートは初めて。

 従来のシートはKIホールディングス(旧小糸工業)製で、2005年から導入。新シートはシートピッチとシート幅は従来と同じで、ピッチが31インチ(78.7センチ)、幅は17.5インチ。配列は1列2-3-2席となる。

 トヨタ紡織側では、クッションをやや硬めにするなど、腰をしっかりと支えることで、筋肉の疲労を抑えてリラックスできる姿勢になるシート構造を取り入れた。身長181センチの日本人男性や、148センチの小柄な女性など、どのような体格の人が座っても、疲れにくいものを目指した。背面の成形を工夫することで、自動車のシートのように座った人を包み込むような座り心地を実現した。

 また、丸みを帯びたシート形状により、座る人の視界を広げて開放感を演出。バックレストは、目線の高さに布地を使うことで圧迫感を抑えた。アームレストの高さも自然にひじが支えるようにし、小柄な人から大柄な人まで、誰もが心地よく感じる形状を取り入れている。

 座面の高さは、従来より約5センチ低い40センチ。クッションを工夫することで、小柄な女性でも、身長が高い男性でも座りやすくした。

 篠辺社長は実機で座った感想を、「硬めでしっかりした座り心地が好きな方には、気に入っていただけると思う。座面が低くなったことで、座りやすくなった」と話した。

 トヨタ紡織の豊田社長は、「どんな体型の人でも快適なシート。ひとつひとつ作るところにも力を入れた」と語り、自動車向けとは異なる少量生産の体制作りに苦心したことを明かした。

 ANA側で開発に携わった、CS&プロダクトサービス室商品戦略部の茅順一朗・主席部員は、「お客様がテーブルを出す時に飲み物をこぼさないよう、一気に倒れてこない構造にした」と話し、これまでサービス時に課題となっていた点を改善したという。

 新シートは2017年3月末までに、6機の767-300国内線仕様機へ導入。同機の普通席は1機あたり260席で計1560席導入し、5、6年程度の使用を計画している。
吉川忠行
吉川忠行 Yoshikawa Tadayuki Aviation Wire 編集長
ANAとトヨタ紡織が共同開発した国内線用の新シートが、今日からお目見え。トヨタ紡織は自動車用シートを手掛けており、最近では北陸新幹線の上級クラス「グランクラス」用シートが採用されましたが、航空機用シートは初めて。初便に乗ってみましたが、車のシートのようなホールド感でした。

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