超臨界地熱発電、政府が候補地として選んだ5県とは
東北・九州で試掘。世界でもまだ成功例なし
政府が、地下深部に存在すると考えられている高温・高圧の水「超臨界水」を地上にくみ上げ、その蒸気でタービンを回す「超臨界地熱発電」(用語参照)について、岩手・秋田・福島の東北3県と、大分・鹿児島の九州2県を候補地として検討していることが分かった。2017年度に着手する超臨界水を有効利用したシステムの検証が終わった2―3年後をめどに、候補地での試掘の検討に入る考えだ。
5県は既に東北電力や九州電力が地熱発電所を構えている。日本には米国、インドネシアに次ぐ世界第3位の地熱資源量があり、政府は再生可能エネルギーの普及を促進している。二酸化炭素(CO2)を排出せずに膨大なエネルギー量が期待できる超臨界地熱発電は、次世代の地熱発電として注目されている。
世界的に見ても、超臨界地熱発電を成功させた例はない。日本の地熱発電所は現在、約50万キロワット分が稼働中。だが、超臨界地熱発電が実現すれば、最大で数百万キロワット分を得られる可能性もあるという。
17年度予算案では、超臨界地熱発電の調査や地熱発電の導入拡大に対し22億円が組まれた。技術的な課題などを検証後、実際に試掘する場合には候補地を1カ所に絞り込むとみられる。
内閣府のエネルギー・環境イノベーション戦略推進ワーキンググループ(柏木孝夫座長=東京工業大学特命教授)が暫定的に作成した資料では、超臨界地熱発電について「50年頃に従来の地熱発電所の約5倍となる発電出力15万キロワットの発電所建設」などが盛り込まれている。
【用語】
超臨界地熱発電=古火山やカルデラの地下4キロ―5キロメートル(東北地方の場合)にあるとされる、400度―500度Cと高温で高圧の水「超臨界水」を地上にくみ上げ、その蒸気でタービンを回す発電方法。超臨界水は強酸性と見られ、掘削には高温、高圧、腐食に耐える材料の開発が必要。最新の研究では、超臨界水を含む岩「超臨界岩体」が存在する可能性が高いことが判明している。
5県は既に東北電力や九州電力が地熱発電所を構えている。日本には米国、インドネシアに次ぐ世界第3位の地熱資源量があり、政府は再生可能エネルギーの普及を促進している。二酸化炭素(CO2)を排出せずに膨大なエネルギー量が期待できる超臨界地熱発電は、次世代の地熱発電として注目されている。
世界的に見ても、超臨界地熱発電を成功させた例はない。日本の地熱発電所は現在、約50万キロワット分が稼働中。だが、超臨界地熱発電が実現すれば、最大で数百万キロワット分を得られる可能性もあるという。
17年度予算案では、超臨界地熱発電の調査や地熱発電の導入拡大に対し22億円が組まれた。技術的な課題などを検証後、実際に試掘する場合には候補地を1カ所に絞り込むとみられる。
内閣府のエネルギー・環境イノベーション戦略推進ワーキンググループ(柏木孝夫座長=東京工業大学特命教授)が暫定的に作成した資料では、超臨界地熱発電について「50年頃に従来の地熱発電所の約5倍となる発電出力15万キロワットの発電所建設」などが盛り込まれている。
【用語】
超臨界地熱発電=古火山やカルデラの地下4キロ―5キロメートル(東北地方の場合)にあるとされる、400度―500度Cと高温で高圧の水「超臨界水」を地上にくみ上げ、その蒸気でタービンを回す発電方法。超臨界水は強酸性と見られ、掘削には高温、高圧、腐食に耐える材料の開発が必要。最新の研究では、超臨界水を含む岩「超臨界岩体」が存在する可能性が高いことが判明している。
日刊工業新聞2017年1月20日