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半導体分社、「孫さんみたいな人が現れると良いのだけど」(東芝幹部)

瀬戸際の東芝、資金確保へ競争入札探る動きも
半導体分社、「孫さんみたいな人が現れると良いのだけど」(東芝幹部)

ソフトバンクの孫社長

 「(短期間で英アームを買収したソフトバンクグループの)孫さんみたいな人が現れると良いのだけど」(東芝幹部)。経営再建に向け、東芝はNAND型フラッシュメモリー事業を分社化し、新会社の2割程度の株式を他社に売却することで、数千億円を資金調達するシナリオを描いている。

 相手先として有力視されるのが、米ウエスタンデジタル(WD)。NANDメモリーの主に生産面で協業関係にあり、「何かあったら助けてね、という話はしてきた」(東芝幹部)という間柄だ。

 しかし、東芝とWDは販売面ではライバル関係。両社の世界シェアはNANDメモリーで35%程度にものぼる。資本提携となると独禁法の審査が避けられず、資本増強の“期限”である3月末という時間軸に照らし合わせると厳しい情勢だ。WDのほかにも出資に関心を示す企業は多いが、メモリーやHDD(ハードディスク駆動装置)など東芝と重なる製品を手がけるところが多く、独禁法リスクがつきまとう。

 出資調達先としてはファンドも興味を示している。東芝の主力行である三井住友銀行と日本政策投資の共同ファンドや、米ベインキャピタルが候補に挙がっている模様。ただ、ファンドとの出資交渉では特に時間的制約がネックになる。

 M&A(買収・合併)では「交渉において、時間に制約がある側が圧倒的に不利になる」(国内ファンド幹部)というのが常識。価格面などで東芝にとって不利な条件を突きつけられる可能性をはらむ。

 水面下では競争入札の実施を探る動きも出てきた。「できるだけ高く買ってもらえる方法を考える」(同)という東芝に、残された時間は少ない。
(文=後藤信之)
日刊工業新聞2017年1月20日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
事業会社は出資でどこまでメリットを見出すか。

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