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銀歯をどうやって効率的にリサイクルする?

田中貴金属が低コスト手法を開発、イオン交換樹脂で
 田中貴金属工業(東京都千代田区、田苗明社長)は、宝飾品や銀歯などから貴金属を効率良く回収する技術を開発した。硝酸液に溶けたプラチナや銀、パラジウム、銅などをイオン交換樹脂で分離回収する。イオン交換樹脂を半永久的に繰り返し利用できるため、リサイクルコストの大幅な低減につながる。量産設備で試験を進め、2017年内の実用化を目指す。

 イオン交換樹脂に、イミノジ酢酸で金属イオンを吸着するキレート樹脂を採用した。イミノジ酢酸の二つのカルボキシ基とアミン基が金属イオンに配位して吸着する。

 このイオン交換樹脂をカラム(容器)に詰めてプラチナ銀パラジウム銅硝酸溶液を通すと、プラチナとパラジウムが吸着され、銀と銅を分離回収できる。さらに塩酸を通すとパラジウムが放出され、ヒドラジンを通すとプラチナが回収できる。

 実際に宝飾品や歯科材料をリサイクルするには金や銀、プラチナなどを、それぞれ精製する必要がある。硝酸で合金から金を分離する際にプラチナ金パラジウム残渣(ざんさ)とプラチナ銀パラジウム銅硝酸溶液に分かれる。
              
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
これまでは吸着後に金属イオンを放出させず、灰化して液化し回収する場合が多かった。イオン交換樹脂が使い捨てになるため、安価な材料しか使えなかったという。

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