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魚とロボットはどちらが賢い?

金魚すくいROBOTにカオス理論
魚とロボットはどちらが賢い?

金魚すくいロボット

 魚とロボットはどちらが賢いと言えるだろうか。金魚すくいロボットが網を近づけると魚は驚き逃げる。ただ毎回全力で泳ぐと疲れてしまう。そこで魚は一定速度で周回したり、水槽の隅に逃げ込むなど、独自の生き残り戦略を編み出す。

 岡山大学の見浪護教授は、「魚は次々にアイデアを発想する。だがロボットはプログラムで決まった動作しかできない」と嘆く。そこで制御プログラムに、予測できない複雑な現象を扱う「カオス理論」を導入し、混沌の中から発想を生み出すロボットの実現を目指した。

 現状ではロボットの連戦連敗。「まだ知性の片りんもつかめていない」。ハイテクが数ミリメートル程度の脳みそに勝てない。知性をすくおうとして、その深みに溺れていく。(
日刊工業新聞2017年1月18日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
カオスは法則はあるけどランダムにしか見えない状態を指します。たくさんのカオスパターンで網を動かして魚と競いました。魚すくいロボが混沌からすくい取った動きは創発なのか、試行錯誤や知性といえるのか、とても興味深いです。東大の国吉先生は多脚ロボの脚をカオスで動かし、特定の方向に進む動作を獲得ました。これを原始的な創発と説明されます。核酸分子が情報媒体や触媒としての機能を獲得したことはカオスやランダムへのバイアスで説明できるかもしれません。ただ知性となるとどうなのか。ゾウリムシも原始的な記憶をもち試行錯誤をするとされます。粘菌に迷路を解かせた北大中垣先生たちの領域です。分子ロボティクス研究では生体分子を組み合わせてアメーバロボの知性を創ろうとしています。知性の研究はいろんなアプローチがあり、深くて面白いです。 (日刊工業新聞科学技術部・小寺貴之)

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