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近未来の車は、「移動空間」「走る家電」から「人に寄り添うパートナー」に

アマゾン「アレクサ」はじめ、音声アシスタントの車への搭載相次ぐ
近未来の車は、「移動空間」「走る家電」から「人に寄り添うパートナー」に

「アレクサ」を採用したフォード車のインフォテインメントシステム(フォード提供)

 米ラスベガスで1月8日まで開催されたデジタル見本市の「CES」。ここではスマートフォンやドローン、テレビなどよりも自動車が主役の座を占め、来たるべき未来の車に大きな関心が寄せられた。

 日本勢もホンダやトヨタが人工知能(AI)搭載のコンセプト車をCESで公開。機械に人工的な感情を持たせたり、乗員の感情や疲れ具合を察知しシートを振動させて安全運転をサポートしたり、あるいはリラックスするよう音楽をかけたり香りをさせたりすることで、「ともに成長するパートナー」(トヨタ)という新たな方向性を打ち出した。

 一方、これより先に実現されそうなのが、音声認識インターフェースを持つコネクテッドカー。米フォードはアマゾンの音声アシスタント「アレクサ」をインフォテインメントシステムに搭載し、今年夏から提供すると発表した。1月中には自宅にあるアマゾンのスマートスピーカー「エコー」あるいは小型の「エコー・ドット」のアレクサを通じて、車のリモートスタートやドアのロック/アンロック、自車の状態と走行データを音声で確認できるようにする。

 続いて、今年夏からは車のダッシュボードに話しかけることで車載のアレクサが起動し、オーディオブックやニュースの読み上げから、検索と目的地へのナビゲーション、音楽再生、アマゾンでの買い物のほか、自宅の照明やセキュリティーシステム、ガレージのシャッターなど、アレクサ対応のスマートホーム機器を運転しながら声で遠隔操作できるという。

 これ以外では、自動運転車で提携する欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とグーグルが、電気自動車(EV)の新コンセプト車のインフォテインメントシステムにグーグルの基本ソフト(OS)を、メルセデス・ベンツもグーグルの音声アシスタント「グーグル・アシスタント」の採用を表明している。一方、日産やBMWはマイクロソフトの音声アシスタント「コルタナ」を車に組み込む計画だ。

 単なる「移動空間」でも「走る家電」でもなく、車が人間のように会話をしながら乗る人に寄り添うパートナーとして存在する時代が、すぐそこまで来ているようだ。

【アマゾンの音声アシスタント「アレクサ」に対応したフォード車(フォード提供)】
日刊工業新聞電子版2017年1月10日付
藤元正
藤元正 Fujimoto Tadashi
車の人工知能での理想はデイビッド・ハッセルホフ主演のドラマの「ナイトライダー」に出てくる「キット」ですね。ただ、キットが車名の「ナイト2000」(Knight Industries Two Thousand)の頭文字だとは知りませんでした。

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