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化学プラントでのアシストスーツ普及、「防爆対応」が課題に

住友化学が原薬工場にまず1台導入
化学プラントでのアシストスーツ普及、「防爆対応」が課題に

アシストスーツ「アウン」を使った原薬の搬送作業

 住友化学はプラントの作業にパナソニックグループのアシストスーツを導入した。梱包や搬送作業における作業員の負担軽減を見込む。医薬品の原薬などを製造する岐阜プラント(岐阜県安八町)が消防法の制約がない場所での作業に先行して採用した。化学メーカーのサービス系ロボット導入は珍しい。今後は採用数増を検討するほか、防爆機能が加われば他の工程でも利用したい考えだ。

 採用したのはアクティブリンク(奈良市)製の「AWN(アウン)―03B」1台。ロボットレンタルを手がける三井住友ファイナンス&リース子会社のSMFLレンタル(東京都千代田区)とレンタル契約を結んだ。

 2016年度は1台を活用。腰痛の軽減といった一定の効果が出ているため、17年度以降に同じ梱包・搬送作業で台数を増やす方向で調整している。他のプラントへの導入についても実績を参考に検討する。

 岐阜プラントの原薬出荷作業でアウンを活用している。原薬の入った円筒状の紙製容器(重さ10キロ―50キログラム)の封かんテープやラベル張り、パレットからトラックの荷台への移送といった作業で、長時間の中腰作業が続いたり重量物の搬送だったりで身体への負担が大きい。アウンは中腰姿勢をサポートする機能があり、負担軽減効果が大きいという。

 現在のアウンは防爆機能がない。プラント内は消防法の制約がある場所が多く、アクティブリンクにとっても採用増には機能改善が課題となる。
日刊工業新聞2016年12月28日
石橋弘彰
石橋弘彰 Ishibashi Hiroaki 第一産業部
化学プラントは消防法の制約で、ほとんどの場所に防爆対応が必要となる。アシストスーツはモーターを使うため、防爆機能を持たせるのが難しいというが、ニーズがある場所にロボット側が合わせない限り普及は困難だ。メーカーの努力が必要だろう。

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