「CES」って何の展示会?ホンダがAI搭載の電気自動車
試作車を披露、クルマとIT・電機が相次ぎ連携
【米ラスベガス=杉本要】ホンダは5日開幕した世界最大の家電見本市「CES」で、人工知能(AI)を搭載した小型電気自動車(EV)の試作車「NeuV(ニューヴィー)」を披露した。AIと自動運転の技術を融合し、所有者がいなくてもクルマが自らの判断で運転に出かけることなどを想定する。またベンチャー企業と連携して開発した音声認識技術なども紹介。オープンイノベーションを積極的に進める。
ニューヴィーは、ソフトバンク傘下の企業と共同開発した、機械自らの感情を疑似的に作り出すAI技術「感情エンジン」を搭載。ドライバーの表情などからストレスの状況を推測するほか、所有者が使わない時は自動運転で移動し、ライドシェア(相乗り)を行うことなどを想定する。
ホンダの研究開発子会社である本田技術研究所の松本宜之社長は記者会見で「AIなどのソフトウエア技術やロボット技術で新価値を創造するため、さまざまな企業と戦略的に連携する」と述べた。トヨタ自動車や日産自動車もAIや「つながる車」の開発など新規分野で他社との連携を強化する方針で、水平分業は自動車業界がトレンドになっている。
ホンダはこのほか、人が乗らなくても自立する2輪車なども公開した。二足歩行ロボット「ASIMO(アシモ)」の制御技術を応用した。
【米ラスベガス=杉本要、同=錦織承平】自動運転車や「つながる車」の開発をめぐり、自動車産業とIT・電機産業の合従連衡が加速する。欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は米グーグル系と協業。米クアルコムやパナソニックは車載関連事業を成長分野の一つに据える。「家電化」する自動車の将来を制す主導権争いが業界を越えて激化している。
「車はすべてにつながる」。米ラスベガスで5日(現地時間)に開幕する世界最大の家電見本市「CES」に先駆けた記者会見で、クアルコムのパトリック・リトル上級副社長は、車載半導体分野を強化すると表明した。2016年に買収を決めた蘭NXPセミコンダクターズとのシナジーで車載分野を拡大する。
FCAはミニバン型の電気自動車(EV)で、スマートフォンと車載機器を連携させる新コンセプト車を公開した。FCAUS(旧クライスラー)のデザイン担当者は「車を人生のハブ(結節点)にする」と説明。2日には車内の情報端末にグーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を採用するなど、グーグルと自動運転での連携強化を発表した。
トヨタ自動車と米フォード・モーターは、車載システムとスマートフォンをつなぐ技術の業界標準化を進める団体「スマートデバイスリンクコンソーシアム」の設立を正式発表した。マツダ、スズキ、富士重工業のほか、仏プジョーシトロエン(PSA)、欧州部品メーカーが参加する。
自動車開発の競争軸は車載システムや電池などに移っている。自動車メーカーは内燃機関の高度化や排ガス浄化対策に加え、電動化や自動運転に対応しなくてはならず単独で全てを網羅するのは難しい。IT・電機大手はこれを商機とみる。
日本勢ではパナソニックが17年内に米コロラド州で、自動運転の導入に向けた実証実験を始める。三菱電機も運転手の心拍数などから行動を先読みするシステムを開発し、欧州車メーカーなどに納入し始めるなど事業を拡大している。
ニューヴィーは、ソフトバンク傘下の企業と共同開発した、機械自らの感情を疑似的に作り出すAI技術「感情エンジン」を搭載。ドライバーの表情などからストレスの状況を推測するほか、所有者が使わない時は自動運転で移動し、ライドシェア(相乗り)を行うことなどを想定する。
ホンダの研究開発子会社である本田技術研究所の松本宜之社長は記者会見で「AIなどのソフトウエア技術やロボット技術で新価値を創造するため、さまざまな企業と戦略的に連携する」と述べた。トヨタ自動車や日産自動車もAIや「つながる車」の開発など新規分野で他社との連携を強化する方針で、水平分業は自動車業界がトレンドになっている。
ホンダはこのほか、人が乗らなくても自立する2輪車なども公開した。二足歩行ロボット「ASIMO(アシモ)」の制御技術を応用した。
日刊工業新聞電子版2017年1月6日
「家電化」する自動車、主導権争い激化
【米ラスベガス=杉本要、同=錦織承平】自動運転車や「つながる車」の開発をめぐり、自動車産業とIT・電機産業の合従連衡が加速する。欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)は米グーグル系と協業。米クアルコムやパナソニックは車載関連事業を成長分野の一つに据える。「家電化」する自動車の将来を制す主導権争いが業界を越えて激化している。
「車はすべてにつながる」。米ラスベガスで5日(現地時間)に開幕する世界最大の家電見本市「CES」に先駆けた記者会見で、クアルコムのパトリック・リトル上級副社長は、車載半導体分野を強化すると表明した。2016年に買収を決めた蘭NXPセミコンダクターズとのシナジーで車載分野を拡大する。
FCAはミニバン型の電気自動車(EV)で、スマートフォンと車載機器を連携させる新コンセプト車を公開した。FCAUS(旧クライスラー)のデザイン担当者は「車を人生のハブ(結節点)にする」と説明。2日には車内の情報端末にグーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を採用するなど、グーグルと自動運転での連携強化を発表した。
トヨタ自動車と米フォード・モーターは、車載システムとスマートフォンをつなぐ技術の業界標準化を進める団体「スマートデバイスリンクコンソーシアム」の設立を正式発表した。マツダ、スズキ、富士重工業のほか、仏プジョーシトロエン(PSA)、欧州部品メーカーが参加する。
自動車開発の競争軸は車載システムや電池などに移っている。自動車メーカーは内燃機関の高度化や排ガス浄化対策に加え、電動化や自動運転に対応しなくてはならず単独で全てを網羅するのは難しい。IT・電機大手はこれを商機とみる。
日本勢ではパナソニックが17年内に米コロラド州で、自動運転の導入に向けた実証実験を始める。三菱電機も運転手の心拍数などから行動を先読みするシステムを開発し、欧州車メーカーなどに納入し始めるなど事業を拡大している。
日刊工業新聞2017年1月5日