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「1ドル=100円でも2ケタの営業利益率を出せる」(富士重社長)

吉永泰之社長インタビュー「(米国事業)全く心配していない」
「1ドル=100円でも2ケタの営業利益率を出せる」(富士重社長)

吉永社長

 ―世界販売の6割を占める米国事業の見通しは。トランプ次期政権が発足し、事業環境が変わる可能性があります。
 「2017年のスバル車の米国販売は前年比1割増の67万台を計画している。新型インプレッサの米国販売は昨年12月下旬ごろに始まったばかりで、本格的に販売に寄与してくるのは1月から。普通に考えてこれから伸びないわけがない」

 「トランプ次期政権がどういう政策を出すか分からないが、自国経済に不利になることはしないだろう。米国の自動車総需要が、大きく落ち込むはとは思えない」

 ―米国事業への依存度が高いことによるリスクはありませんか。
 「全く心配していないし、為替レートが1ドル=100円でも2ケタの営業利益率を出せる力がある。為替感応度を下げるために世界中に工場を構えて販売台数の規模を追い、個性的な車づくりで高い利益を出し続けていくこれまでのビジネスモデルが崩れてしまうほうが問題だ」

 ―世界販売が16年度に初めて100万台を超える見通しです。販売が増える中、車の品質をどう維持していきますか。
 「“安心・安全”というブランドイメージが定着しつつある中で万が一品質問題が発生したら大変なことになる。販売が伸びていく中で、いま一度、最優先事項は何よりも品質だという認識を全社で徹底的に共有する。少しでも品質が心配なら生産ラインを止めるくらいの意識を持たないといけない。これを言い続けていく」

 ―運転支援システム「アイサイト」の開発など安全性の高い車づくりでブランド力を高めてきましたが、大手を含めた競合も追い上げてきています。
 「16年に全面刷新した共通プラットフォーム(車台)はコスト削減ではなく、スバル車の安全性能を底上げするために開発したもの。アイサイトもまだまだ進化できる見通しで、今後も安全性能で一歩リードできる自信がある」

 「私はスバル車の特徴を伸ばすための投資ならしていいと言っている。当社は車両価格の安さを武器にしている会社ではない。コストは高いけれど安全性能が際立って高く、顧客に支持される車づくりができればよい。これからも強みを伸ばしてブランド力を高めていく」
(聞き手=下氏香菜子)
日刊工業新聞2017年1月4日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
米国販売は2016年11月に60カ月連続で前年実績を上回った。17年以降も新車投入を控えており米国事業の視界は良好だ。ただここ5年で世界生産が30万台超も増え工場もサプライヤーも安定供給に向けた対応に追われている。繁忙な中で品質を高める取り組みを従来以上に徹底することが勢いを維持するために不可欠だ。 (日刊工業新聞第一産業部・下氏香菜子)

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