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インホイールモーターは次世代自動車を進化させるか

日本精工が変速機付きを開発。小型モーター2台をホイールに
 日本精工は次世代自動車向け変速機付きインホイールモーターを開発した。軸受やクラッチユニットなどの構成部品の製品化につなげることが狙い。2台のモーターを用い小型でも高い駆動性能を得られる独自方式を、自動車メーカーなどに提案する。今後、数年をかけて、各構成部品を事業化する考えだ。

 同社が開発したのは変速機と一体化させた小型モーター2台をホイールにつなげる独自方式。低速ギア時は一方のモーターが逆回転し、高速ギアに切り替えると2モーターが同方向に回る仕組みだ。一般的なインホイールモーターより省スペースながらも、変速機の働きにより実用的なトルクや速度を確保できるという。

 モーター2台の回転を制御することで、加速しながら滑らかにギアを切り替えられるのも特徴だ。自作車を用いた実証実験で性能を確認した。この用途に合わせた減速機内蔵ハブ軸受ユニットなどの製品化を目指す。

 インホイールモーターは電気自動車(EV)などの新たな駆動方式として期待されているが、小型化と駆動性能の両立が課題。
日刊工業新聞2016年12月19日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
最近、NTNも小型電気自動車(EV)向けインホイールモーターシステムを開発。車の足回りを構成するサスペンション、ブレーキともに既存の小型車の構造が生かせ、次世代EVの開発推進につながるという。2020年頃に車メーカーが発売する新車での採用を狙っている。開発したシステムは平行軸歯車式減速機と外輪回転ハブの組み合わせで、車輪軸とモーター軸をずらし、17インチホイール幅内に構成部材が収まる設計。NTNの従来システムはモーターと減速機、ハブが同軸で一列に並び、17インチホイールでは大きくはみ出ていた。何年も前からインホイールモーターの開発は盛んだったが、いよいよ実用化フェーズに入るか。

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