神奈川大、材料費1台80万円の超小型ロケット打ち上げ成功
小型衛星の投入視野
神奈川大学工学部の高野敦准教授らは、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)で強化し軽量化した新型ハイブリッドエンジンやフェアリング(ロケットの先頭部)分離機構を搭載した超小型ロケットの打ち上げに成功した。伊豆大島差木地近隣広場(東京都大島町)から打ち上げたもので、機体とデータの回収に成功している。将来は小型衛星の打ち上げを想定しており、小型で安価なロケットと組み合わせれば、打ち上げコストの大幅な削減が期待できる。
3日に打ち上げたロケットは高度約2キロメートルに到達後、パラシュートを展開して安全に着水した。機体は全長2・5メートル、直径0・12メートルの円筒型で、加速度計や気圧センサー、カメラなどを搭載。既製品に比べエンジンを10%軽量化した。
またフェアリングの分離機構は人工衛星の宇宙での放出に対応できる。ロケットの材料費は1台あたり約80万円と既存のロケットと比べて安価だ。
現在、衛星を宇宙空間まで打ち上げるには、大型のロケットを使う必要がある。だが小型衛星の場合、大型ロケットに積み込むメーンの人工衛星の軌道やスケジュールに合わせなければならない。
もし小型で安価なロケットを作れれば、好きな時期や軌道に小型衛星を投入できる。
今後の予定として2017年8月にも、軽量化した燃料タンクを積んだ小型ロケットを打ち上げる。また20年までに機体重量を大型化し、高度100キロメートルへの打ち上げを目指す。
高野准教授は「気球による高度30キロメートルまでの観測と小型衛星による高度100キロメートルでの宇宙観測の間を埋められるのではないか」と期待する。
ハイブリッドエンジンは樹脂を液体の酸化剤で燃焼し推進力を得る仕組み。安全性が高く運用コストを減らせるため、大学などでの研究が盛んに行われている。
(文=冨井哲雄)
3日に打ち上げたロケットは高度約2キロメートルに到達後、パラシュートを展開して安全に着水した。機体は全長2・5メートル、直径0・12メートルの円筒型で、加速度計や気圧センサー、カメラなどを搭載。既製品に比べエンジンを10%軽量化した。
またフェアリングの分離機構は人工衛星の宇宙での放出に対応できる。ロケットの材料費は1台あたり約80万円と既存のロケットと比べて安価だ。
現在、衛星を宇宙空間まで打ち上げるには、大型のロケットを使う必要がある。だが小型衛星の場合、大型ロケットに積み込むメーンの人工衛星の軌道やスケジュールに合わせなければならない。
もし小型で安価なロケットを作れれば、好きな時期や軌道に小型衛星を投入できる。
今後の予定として2017年8月にも、軽量化した燃料タンクを積んだ小型ロケットを打ち上げる。また20年までに機体重量を大型化し、高度100キロメートルへの打ち上げを目指す。
高野准教授は「気球による高度30キロメートルまでの観測と小型衛星による高度100キロメートルでの宇宙観測の間を埋められるのではないか」と期待する。
ハイブリッドエンジンは樹脂を液体の酸化剤で燃焼し推進力を得る仕組み。安全性が高く運用コストを減らせるため、大学などでの研究が盛んに行われている。
(文=冨井哲雄)
日刊工業新聞2016年12月23日