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トヨタが性能試験をした新形状の傘歯車とは

生産性を約10倍、機械学会がメーカーに普及提案
トヨタが性能試験をした新形状の傘歯車とは

開発した新形状のベベルギア

 日本機械学会は、スパイラルベベルギア(曲がり歯傘歯車)と同等のかみ合い性能を持ちながら、生産性を約10倍高めた新形状のベベルギア「IP(インボリュート・プレーナー)ベベルギア」を開発した。5軸マシニングセンター(MC)1台で加工が完結できる。機械メーカーなどに提案し広く普及を図る。

 機械学会は「歯車装置に対する設計・製造及び評価に関する革新的技術探求の調査研究分科会」で、2015年4月から研究していた。

 IPベベルギアは、アムテック(大阪市港区)が14年に開発した歯車設計・解析ソフトを活用。大歯車の歯形と歯すじを皿形砥石(といし)で研削可能な直線にし、同歯車に正しくかみ合う小歯車の歯形を生成する。

 小歯車は平面インボリュート歯形と球面インボリュート歯形の中間の円柱インボリュート歯形にし、全面歯当たりを実現した。歯面修正が可能で組み付け誤差を吸収することができる。

 これを基に、応用科学研究所が歯車の研削と検査を、トヨタ自動車が性能試験を実施した。
日刊工業新聞2016年12月22日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
一般にスパイラルベベルギアはかみ合い率が高く回転がスムーズで、騒音と振動が低いため多用途で使われている。ただ、歯すじが曲がっているため、皿形砥石で研削すると隣の歯と工具が干渉する問題があり、カッターを模した砥石を使った専用機での加工や、ラッピングなど時間がかかる研磨加工を要していた。IPベベルギアでは加工機集約で生産性を大幅に高めることができるという。

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