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直販営業1000人体制へ。復調・オリックス生命の鼻息が荒い

新商品効果で契約伸び率2位。事業モデルの変革に乗り出す
直販営業1000人体制へ。復調・オリックス生命の鼻息が荒い

営業社員の研修。研修を経て約50人の営業社員が投入されている

 オリックス生命保険が復調の兆しを見せている。2015年度に新契約件数が前年度比で鈍化したが、主力の医療保険に加え、終身保険や就業不能に備える新商品の投入効果もあって、16年4―9月期は再び盛り返してきた。10月には固定給で採用した営業社員による直販チャンネルも立ち上がり、下期の成長のけん引役として期待される。(杉浦武士)

 16年4―9月期の新契約件数で、オリックス生命は30万7313件を獲得。件数ベースでは10位となったが、伸び率でみると前年同期比19・4%増と業界2位に浮上した。15年度が年度ベースで前年度比1%減と横ばいにとどまっただけに、わずか半年で盛り返してきた。

 けん引したのは、終身保険ライズと特定疾病補償保険ウィズ。低金利により、業界で貯蓄性保険の予定利率引き下げが相次ぐ中でも保険料と保障のバランスを保ち続けたことが好評だった。ウィズは病気で就業不能になった場合に備えたい顧客のニーズを開拓した。

 オリックス生命は医療保険「キュア」シリーズに代表されるシンプルな第三分野商品が主力。代理店を通じた販売モデルで業績を伸ばしてきたが、近年は外資系生保や三井住友海上あいおい生命保険といった損保系生保との競争が激しい。

 そこで、中長期的な成長を見据えたビジネスモデルの変革にも乗り出している。その一つが10月に立ち上げた直販チャンネルとなる。といっても、大手生保の営業職員のように個人宅やオフィスで営業を展開するわけではない。

 オリックス生命が持つほかの販路と組み合わせ、例えばインターネットで資料請求してきた見込み客に営業社員が対面営業するモデルを構築した。

 あらかじめ一定数の見込み客が確保できているため、新規開拓のために営業社員が疲弊する可能性は低い。さらに業界では異例の営業社員への固定給制度も導入し、他生保より安定的な雇用環境を提供している。

 既に約50人の新規営業部隊を現場に投入。オリックス生命の片岡一則社長は直販体制について、「実績を積み上げ、早期に1000人体制へもっていきたい」と鼻息は荒い。
(文=杉浦武士)
日刊工業新聞2016年12月20日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
日銀のマイナス金利導入以降、超低金利が続き、生保業界を取り巻く環境は17年も厳しそうだ。オリックス生命は直販チャンネルの立ち上げによって、どこまで躍進を続けることができるのか。 (日刊工業新聞経済部・杉浦武士)

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