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新日鉄住金がAIで国内製鉄所の配船を最適化。“バーチャル製鉄所”構築へ

原料・製品輸送の効率向上狙う。将来は海外にも展開
新日鉄住金がAIで国内製鉄所の配船を最適化。“バーチャル製鉄所”構築へ

製鉄所間の出荷物流や原料荷揚げをIoTで最適化する(製鉄所内の荷揚げバース)

 新日鉄住金はビッグデータ(大量データ)や人工知能(AI)を活用し、製鉄所間の配船最適化に乗り出す。製品や原料の輸送船の運航情報をリアルタイムで“見える化”し、AIによる予測値も加味しながら最適な輸送条件を決めていく。今後2―3年でシステムを構築し、国内の全12製鉄所・製造所があたかも一つの“バーチャル製鉄所”になるようにする。完成後は海外の製造拠点にも広げる。

 新日鉄住金は百数十隻の内航船を運用している。全国の製鉄所間の製品輸送は「製鉄所ごとの出荷計画と船の運航計画がリンクしていないため(余裕をみて)常に船を潤沢に持っている」(米沢公敏執行役員)状態。新システムで各製鉄所が情報共有し「一つの製鉄所で輸送船を回しているような環境」(同)をつくり、効率向上を目指す。

 海外から鉄鉱石や石炭などを各製鉄所に運ぶ原料輸送にも展開する。輸送管理をより厳格化し、船が沖合で待つ滞船費用を減らす。新システムでは輸送状況を可視化する。さらに過去の配船・航行実績、全地球測位システム(GPS)からの運航状況などのビッグデータを基に、AIによる論理解析で予知・予測精度を高める。

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日刊工業新聞2016年12月15日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
次の段階ではタイやインドネシアなど東南アジアの製造拠点にも広げるという。現在は海外工場は日本から原板を輸入し、冷間圧延やメッキなどの後工程を担っている。新システム導入により、日本の製鉄所を上工程に、東南アジアの工場をその下工程に位置付けた「仮想・一貫製鉄所」が理想となる。

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