三菱自、きょう臨時株主総会。新体制のキーマンは誰だ!?
ゴーンイズムを知る日産出身の山下副社長とマンCOO
三菱自動車は14日に臨時株主総会を開き新たな経営体制を発足する。日産自動車のカルロス・ゴーン社長が三菱自会長に、益子修三菱自会長兼社長が社長に就任する。経営陣には開発部門の改革や信頼回復、自動運転やシェアリングサービスなど自動車産業の変化への対応も求められる。再建では益子氏が日産に求めた実行部隊の2人、山下光彦三菱自副社長とトレバー・マン三菱自最高執行責任者(COO)がキーマンとなりそうだ。
「三菱自や仏ルノー・日産連合との最大の利益のため残ってほしい」。ゴーン氏は三菱自への出資を前に燃費不正問題の経営責任を取るため辞任を申し出た益子氏を再三説得。最後は益子氏が批判を覚悟の上で社長留任の要請を受け入れ、“ゴーン―益子体制”が形成された。
ゴーン氏は巧みな外交手腕でルノー・日産連合に加え、独ダイムラー、露アフトワズとも連携を拡大。益子氏は出資を受ける三菱商事など三菱グループと緊密に連携する。三菱自は両首脳の経営基盤を軸にシナジーを発揮し、再建に踏み出すことになる。
「燃費不正問題は三菱自の問題」。ゴーン氏は信頼回復を最優先課題に掲げ、三菱自が自ら取り組む改革への全面支援を約束する。
不正の舞台となった開発部門では燃費の改ざん以外に違法な測定方法を長期間採用するなど新たな不正が相次ぎ発覚。開発部門の閉鎖的な体質が不正を招いたとの指摘もあり、日産元副社長の山下氏を招聘(しょうへい)。日産での経験を三菱自に導入し、抜本的な改革に乗り出した。
「マンさんの力も借りて改革を進めたい」。益子氏はマン氏の手腕にも期待する。1990年代に経営危機に陥った日産は、99年にルノーからゴーン氏をCOOとして迎えた。
ゴーン氏は工場閉鎖や調達改革のほか、組織横断の「クロスファンクショナルチーム」を結成。組織の見直しにも着手し業績のV字回復を果たした。益子氏はマン氏がルノーと日産の両社に精通し、クロスファンクショナルチームの経験もあると信頼を寄せる。
「従来のような車の開発や生産で将来本当に生きていけるのかという問題を突きつけられている」。益子氏は環境規制や自動運転技術など自動車産業が大きな転換期にあると指摘。日産の支援を得ながら組織や経営を再構築し、持続的成長に向けて経営の道筋を付けることも使命だと位置づける。
「マンさんの三菱自派遣はゴーンさんが日産に送り込まれた状況と似ている」。日産のある幹部はマン氏の境遇をかつてのゴーン氏に重ねる。三菱自の再建はゴーン氏の経営手法を知る山下氏やマン氏らの成功体験を吸収できるかがカギとなりそうだ。
(文=西沢亮)
「三菱自や仏ルノー・日産連合との最大の利益のため残ってほしい」。ゴーン氏は三菱自への出資を前に燃費不正問題の経営責任を取るため辞任を申し出た益子氏を再三説得。最後は益子氏が批判を覚悟の上で社長留任の要請を受け入れ、“ゴーン―益子体制”が形成された。
ゴーン氏は巧みな外交手腕でルノー・日産連合に加え、独ダイムラー、露アフトワズとも連携を拡大。益子氏は出資を受ける三菱商事など三菱グループと緊密に連携する。三菱自は両首脳の経営基盤を軸にシナジーを発揮し、再建に踏み出すことになる。
「燃費不正問題は三菱自の問題」。ゴーン氏は信頼回復を最優先課題に掲げ、三菱自が自ら取り組む改革への全面支援を約束する。
不正の舞台となった開発部門では燃費の改ざん以外に違法な測定方法を長期間採用するなど新たな不正が相次ぎ発覚。開発部門の閉鎖的な体質が不正を招いたとの指摘もあり、日産元副社長の山下氏を招聘(しょうへい)。日産での経験を三菱自に導入し、抜本的な改革に乗り出した。
「マンさんの力も借りて改革を進めたい」。益子氏はマン氏の手腕にも期待する。1990年代に経営危機に陥った日産は、99年にルノーからゴーン氏をCOOとして迎えた。
ゴーン氏は工場閉鎖や調達改革のほか、組織横断の「クロスファンクショナルチーム」を結成。組織の見直しにも着手し業績のV字回復を果たした。益子氏はマン氏がルノーと日産の両社に精通し、クロスファンクショナルチームの経験もあると信頼を寄せる。
「従来のような車の開発や生産で将来本当に生きていけるのかという問題を突きつけられている」。益子氏は環境規制や自動運転技術など自動車産業が大きな転換期にあると指摘。日産の支援を得ながら組織や経営を再構築し、持続的成長に向けて経営の道筋を付けることも使命だと位置づける。
「マンさんの三菱自派遣はゴーンさんが日産に送り込まれた状況と似ている」。日産のある幹部はマン氏の境遇をかつてのゴーン氏に重ねる。三菱自の再建はゴーン氏の経営手法を知る山下氏やマン氏らの成功体験を吸収できるかがカギとなりそうだ。
(文=西沢亮)
日刊工業新聞2016年12月14日