「こうのとり」は幸せを運ぶ
打ち上げ成功!バッテリーの運搬はISSの運用に関わる重要な役割
「こうのとり」と言えば何を思い浮かべるだろうか。赤ん坊を運んでくるという伝説や国内での人工繁殖。新大阪駅と城崎温泉駅を結ぶ特急列車の名前にもなっている。
国際宇宙ステーション(ISS)への物資補給船「こうのとり」6号機を載せた国産大型ロケット「H2B」が、今夜打ち上げられる。水や食料だけでなく、宇宙での実験資材などを運ぶ重要なミッションだ。
昨年8月の同5号機打ち上げでは、ISS滞在中だった宇宙航空研究開発機構(JAXA)の油井亀美也宇宙飛行士がロボットアームで補給機を捕捉したことが記憶に新しい。次にISSに赴いた大西卓哉宇宙飛行士も「ぜひ捕捉したい」と意気込んでいたが、打ち上げ延期により希望がかなわぬまま、10月末に地球に帰還した。
ISSに日本人はいないものの、6号機はISSで運用中のバッテリーを、日本製のリチウムイオン電池を使ったバッテリーに交換するミッションを託されている。日本の科学技術力を世界にアピールする好機だ。
コウノトリは「幸せを運ぶ」とされる縁起の良い鳥。日本の科学技術を結集した補給機が、クリスマスや正月に先駆けて幸福を運んでくれるのか。打ち上げの成功を祈りたい。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業は9日22時26分、国際宇宙ステーション(ISS)へ水や食料品などを運ぶ国産物資補給船「こうのとり」6号機を搭載した国産大型ロケット「H2B」を、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターから打ち上げた。同6号機は約15分後に分離し、打ち上げは成功した。13日20時ころISSに到着し、その後宇宙飛行士が操作するISSのロボットアームで同6号機を捕捉する。
H2Bの打ち上げ成功は6回連続。さらに国産ロケット「H2A」と合わせると連続31回の打ち上げ成功となった。
同6号機は10月の打ち上げを予定していたが、機体の修理のため打ち上げを延期。大西卓哉宇宙飛行士のISS滞在中の打ち上げには間に合わなかった。
同6号機には日本製のリチウムイオン電池を採用した新型バッテリーを積んでおり、ISSの維持に必要なバッテリーと交換する。さらに同6号機の機体を使い、スペースデブリ(宇宙ゴミ)を取り除くための要素技術の実証実験も行う。
また、同6号機には九州工業大学や東京大学などが作製した7個の超小型人工衛星を搭載している。ISSに運ばれた衛星は、ロボットアームとエアロックを併せ持つ日本実験棟「きぼう」から地球周回軌道に放出される予定。
打ち上げ後の会見で、JAXAの奥村直樹理事長は「バッテリーの運搬はISSの運用に関わる重要な役割を果たしている。また宇宙ゴミの除去に関わる実証実験などにより、新しい実験の世界を切り開く可能性がある」と今回のミッションの意義を強調した。
国際宇宙ステーション(ISS)への物資補給船「こうのとり」6号機を載せた国産大型ロケット「H2B」が、今夜打ち上げられる。水や食料だけでなく、宇宙での実験資材などを運ぶ重要なミッションだ。
昨年8月の同5号機打ち上げでは、ISS滞在中だった宇宙航空研究開発機構(JAXA)の油井亀美也宇宙飛行士がロボットアームで補給機を捕捉したことが記憶に新しい。次にISSに赴いた大西卓哉宇宙飛行士も「ぜひ捕捉したい」と意気込んでいたが、打ち上げ延期により希望がかなわぬまま、10月末に地球に帰還した。
ISSに日本人はいないものの、6号機はISSで運用中のバッテリーを、日本製のリチウムイオン電池を使ったバッテリーに交換するミッションを託されている。日本の科学技術力を世界にアピールする好機だ。
コウノトリは「幸せを運ぶ」とされる縁起の良い鳥。日本の科学技術を結集した補給機が、クリスマスや正月に先駆けて幸福を運んでくれるのか。打ち上げの成功を祈りたい。
日刊工業新聞2016年12月9日
「H2B」の打ち上げ成功は6回連続
宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業は9日22時26分、国際宇宙ステーション(ISS)へ水や食料品などを運ぶ国産物資補給船「こうのとり」6号機を搭載した国産大型ロケット「H2B」を、鹿児島県南種子町の種子島宇宙センターから打ち上げた。同6号機は約15分後に分離し、打ち上げは成功した。13日20時ころISSに到着し、その後宇宙飛行士が操作するISSのロボットアームで同6号機を捕捉する。
H2Bの打ち上げ成功は6回連続。さらに国産ロケット「H2A」と合わせると連続31回の打ち上げ成功となった。
同6号機は10月の打ち上げを予定していたが、機体の修理のため打ち上げを延期。大西卓哉宇宙飛行士のISS滞在中の打ち上げには間に合わなかった。
同6号機には日本製のリチウムイオン電池を採用した新型バッテリーを積んでおり、ISSの維持に必要なバッテリーと交換する。さらに同6号機の機体を使い、スペースデブリ(宇宙ゴミ)を取り除くための要素技術の実証実験も行う。
また、同6号機には九州工業大学や東京大学などが作製した7個の超小型人工衛星を搭載している。ISSに運ばれた衛星は、ロボットアームとエアロックを併せ持つ日本実験棟「きぼう」から地球周回軌道に放出される予定。
打ち上げ後の会見で、JAXAの奥村直樹理事長は「バッテリーの運搬はISSの運用に関わる重要な役割を果たしている。また宇宙ゴミの除去に関わる実証実験などにより、新しい実験の世界を切り開く可能性がある」と今回のミッションの意義を強調した。
日刊工業新聞2016年12月10日
日刊工業新聞2016年12月9日