「まちてん」から地方創生のレジェンドは生まれるか
2回目の今年は企業からの情報発信も力強く
自治体や企業が地方創生の取り組みなどを紹介するイベント「まちてん」(まちてん2016実行委員会主催)が9日、東京都渋谷区の複合ビル「渋谷ヒカリエ」で開幕した。2回目となる今回は、企業からの情報発信を強化したのが特徴。
伊藤園や日本郵便の大手のほか、ベンチャー企業も出展し、街づくりの取り組みなどをアピールする。期間は10日まで。入場無料。
企業のほか自治体、NPOなど97社・団体が出展し、2日間で3000人の来場を見込む。ブース展示のほか、地方創生に取り組む企業の担当者らによる講演やディスカッションを通じて、地方創生の成功事例やアイデアを発信する。
笹谷秀光まちてん2016実行委員長(伊藤園常務執行役員)は「発信力の強い取り組みに対しては、自然と皆が応援するもの。まちてんからのポジティブな発信で、レジェンドを生み出したい」と話した。
国内農業の構造課題を解決する方法の一つが、企業の農地所有だ。耕作放棄地の解消につながるほか、IT活用による効率化や生産・加工・流通の一貫体制で競争力を強化できる。
国家戦略特別区域の兵庫県養父市では秋以降、全国で初めて企業の農地所有が特例措置で認められる。養父市は「現在280万平方メートルある耕作放棄地に歯止めをかけるためにも今回の特例で企業の農地所有を促す」(企画総務部国家戦略特区・地方創生課)方針だ。
2014年5月の特区認定から2年が経過し、オリックスやヤンマーなど市内外の11事業者が同市で農業に参入した。ただ農林族の間には、企業が農地を所有すると経営の失敗で撤退した場合、農地が荒れてしまうとの懸念も根強い。養父市では「地元農家で当初は(企業参入に)心配の声があったが、今は特区施策を好意的に受け取っている」(同)と意識の変化を語る。
伊藤園は鹿児島県や大分県など九州各県と提携し、後継者がいなくなった耕作放棄地などを茶畑に再生するプロジェクト「茶産地育成事業」を進めている。合計面積は1000万平方メートルまで広がり、将来は2000万平方メートルに拡大する計画だ。
茶畑内ではリモートセンシングや省力化機器などITを活用。衛星画像で茶の収穫日や生育状況をチェックする。栽培した茶葉は主力商品「お〜いお茶」などに使われている。
大手小売りも農業へ関心が高い。イオンやローソンなどは、それぞれ農業分野の子会社を設立、国内各地に農場を展開して野菜や果物の安定供給につなげている。自社農園であるため、低農薬栽培などの高付加価値化や品質管理も容易だ。
イオンの農業子会社であるイオンアグリ創造(千葉市美浜区)は、茨城県牛久市の農場から朝採れキャベツやホウレンソウを店頭に直送している。直営農場「北海道三笠農場」(北海道三笠市)では若手にメロン栽培技術の伝承もしている。「農業をやりたい若者は多い」と福永庸明社長は話す。
企業が農業法人を設立する場合、以前は出資比率の4分の3以上が農業関係者で、役員も農業従事者が過半数である必要があった。これだと企業が農業法人を設立しても県境をまたいで大型の設備投資をしたり、安定供給のために1法人が九州から近畿、東北などと産地をリレーしながら安定供給したりする取り組みは難しい。
ただ、4月からの農地法改正で農業者の出資比率は2分の1以上に緩和された。制約は依然として残るものの、少しずつ企業に門戸は開かれつつある。
伊藤園や日本郵便の大手のほか、ベンチャー企業も出展し、街づくりの取り組みなどをアピールする。期間は10日まで。入場無料。
企業のほか自治体、NPOなど97社・団体が出展し、2日間で3000人の来場を見込む。ブース展示のほか、地方創生に取り組む企業の担当者らによる講演やディスカッションを通じて、地方創生の成功事例やアイデアを発信する。
笹谷秀光まちてん2016実行委員長(伊藤園常務執行役員)は「発信力の強い取り組みに対しては、自然と皆が応援するもの。まちてんからのポジティブな発信で、レジェンドを生み出したい」と話した。
企業の農地所有で耕作放棄地を再生
国内農業の構造課題を解決する方法の一つが、企業の農地所有だ。耕作放棄地の解消につながるほか、IT活用による効率化や生産・加工・流通の一貫体制で競争力を強化できる。
国家戦略特別区域の兵庫県養父市では秋以降、全国で初めて企業の農地所有が特例措置で認められる。養父市は「現在280万平方メートルある耕作放棄地に歯止めをかけるためにも今回の特例で企業の農地所有を促す」(企画総務部国家戦略特区・地方創生課)方針だ。
2014年5月の特区認定から2年が経過し、オリックスやヤンマーなど市内外の11事業者が同市で農業に参入した。ただ農林族の間には、企業が農地を所有すると経営の失敗で撤退した場合、農地が荒れてしまうとの懸念も根強い。養父市では「地元農家で当初は(企業参入に)心配の声があったが、今は特区施策を好意的に受け取っている」(同)と意識の変化を語る。
伊藤園は鹿児島県や大分県など九州各県と提携し、後継者がいなくなった耕作放棄地などを茶畑に再生するプロジェクト「茶産地育成事業」を進めている。合計面積は1000万平方メートルまで広がり、将来は2000万平方メートルに拡大する計画だ。
茶畑内ではリモートセンシングや省力化機器などITを活用。衛星画像で茶の収穫日や生育状況をチェックする。栽培した茶葉は主力商品「お〜いお茶」などに使われている。
大手小売りも農業へ関心が高い。イオンやローソンなどは、それぞれ農業分野の子会社を設立、国内各地に農場を展開して野菜や果物の安定供給につなげている。自社農園であるため、低農薬栽培などの高付加価値化や品質管理も容易だ。
イオンの農業子会社であるイオンアグリ創造(千葉市美浜区)は、茨城県牛久市の農場から朝採れキャベツやホウレンソウを店頭に直送している。直営農場「北海道三笠農場」(北海道三笠市)では若手にメロン栽培技術の伝承もしている。「農業をやりたい若者は多い」と福永庸明社長は話す。
企業が農業法人を設立する場合、以前は出資比率の4分の3以上が農業関係者で、役員も農業従事者が過半数である必要があった。これだと企業が農業法人を設立しても県境をまたいで大型の設備投資をしたり、安定供給のために1法人が九州から近畿、東北などと産地をリレーしながら安定供給したりする取り組みは難しい。
ただ、4月からの農地法改正で農業者の出資比率は2分の1以上に緩和された。制約は依然として残るものの、少しずつ企業に門戸は開かれつつある。
日刊工業新聞2016年6月23日