【連載】挑戦する地方ベンチャー(プロローグ) 魅力ある仕事づくり、誰が担う?
独自性生かす地方発ベンチャー
6月より毎月第2、第4月曜日に、連載『挑戦する地方ベンチャー』がスタートします。
地域ならではの特色を生かしたり、課題を解決する地方ベンチャー企業。地方ベンチャーの中には、雇用を生み、地域を活性化している企業も少なくありません。ローカルだけれど、グローバルに活躍するベンチャー企業を紹介します!
初回は、トーマツベンチャーサポート 政策事業部 政策事業部長の佐藤 史章氏に、地方ベンチャーの現状についての序文をお願いしました。(編集部)
●地方の「魅力ある仕事」づくりは、地方発ベンチャー企業が担う
安倍政権の中で、重要政策として「地方創生」が位置づけられている。少子化・高齢化が叫ばれて久しいが、実質的な打開策が打たれないまま月日が経ってきたところ、近年の地方への注目度の高まりは、アベノミクスの重要な功績ではないだろうか。
地方への注目が集まる一方、地方に人の流れができ、東京への一極集中が是正されるためには、これから多くの課題を解決していかなければならない状況である。
特に、U・Iターンで地方に移住しようと考えてる方々でも、やはり「仕事」があるかどうかがもっとも大きな壁となる。地方に仕事がないわけではないが、「魅力ある仕事」があまりないからU・Iターンが加速していかないのではないかと考える。
では、この「魅力ある仕事」づくりを誰が担うのか。
それが、地方発ベンチャー企業であるのではないかと私は思っている。
ベンチャー企業には、新しい技術やビジネスモデルでユーザーのニーズにマッチした新しいサービスや製品を生み出そうとしたり、ソーシャルベンチャーのように地域の課題を解決するようなサービスや製品を展開する企業もある。
このようにただ労働だけでなく、「やりがい」や「自己実現」のために働く場を提供するベンチャー企業は、地方の「魅力ある仕事」作りには欠かせない存在であるといえるのではないだろうか。
表を見て頂きたい。
最近ウェブサイトが公開された「地域経済分析システムRESAS」から、ランダムに地域を選び、「労働生産性」という軸で、東京と比較を行った表である。
「労働生産性」は、「その地域に存在する企業の従業員1人の生産活動によって新たに生み出された価値の額」を示している。大体の地域が、300万円台から400万円台前半あたりで推移しているのに対して、東京都の欄だけ700万円台と大きな差が出ている。
このデータが示すのは、全国の中で東京が集中的に価値を創造しているということである。東京では、多くの企業が生まれ、新しいサービスや製品が生まれている。ビジネスのスピードが他の地域に比べて圧倒的に速く、多くの価値を生み出しているのである。
東京と互角に張り合うことは難しいまでも、地方も生産性を高めていく必要がある。その一端を担うのが、ベンチャー企業である。イノベーション、IT技術を活用していく地方発ベンチャー企業を増やし労働生産性を高めていくことが重要であると、このデータからもわかる。
●地方発ベンチャー企業には、独自性がある
ニュースイッチのベンチャー道では、地方発ベンチャーの特集を行っていく。多くの方々から良く聞かれるのは、本当に地方にそんな魅力あるベンチャー企業があるのかという質問である。
答えは、YES。
インターネットがあればどこでも仕事ができるようになったといわれる現在でも、東京には多くのITベンチャー企業が集まっており、起業家やそのステークホルダー間の対面による情報合戦が繰り広げられている。そのため、ITサービスを展開する地方発ベンチャー企業には、東京に拠点を置くことがビジネス展開上、有利となりやすい。
しかし、この情報合戦の波にさらされないことで、逆に地域の独自性を育み、その特性を活かしたベンチャーが生まれているのも事実である。そのため、地方に出向くと、東京ではなかなか生まれない特色ある事業を展開しているベンチャー企業によく出会うことができる。
今回ニュースイッチでは、地方発ベンチャー企業を取り上げさせて頂く。微力ではあるかもしれないが、全国あるいは世界へ知名度を上げていって頂く手助けとなればと考えている。
(トーマツベンチャーサポート 佐藤 史章)
地域ならではの特色を生かしたり、課題を解決する地方ベンチャー企業。地方ベンチャーの中には、雇用を生み、地域を活性化している企業も少なくありません。ローカルだけれど、グローバルに活躍するベンチャー企業を紹介します!
初回は、トーマツベンチャーサポート 政策事業部 政策事業部長の佐藤 史章氏に、地方ベンチャーの現状についての序文をお願いしました。(編集部)
●地方の「魅力ある仕事」づくりは、地方発ベンチャー企業が担う
安倍政権の中で、重要政策として「地方創生」が位置づけられている。少子化・高齢化が叫ばれて久しいが、実質的な打開策が打たれないまま月日が経ってきたところ、近年の地方への注目度の高まりは、アベノミクスの重要な功績ではないだろうか。
地方への注目が集まる一方、地方に人の流れができ、東京への一極集中が是正されるためには、これから多くの課題を解決していかなければならない状況である。
特に、U・Iターンで地方に移住しようと考えてる方々でも、やはり「仕事」があるかどうかがもっとも大きな壁となる。地方に仕事がないわけではないが、「魅力ある仕事」があまりないからU・Iターンが加速していかないのではないかと考える。
では、この「魅力ある仕事」づくりを誰が担うのか。
それが、地方発ベンチャー企業であるのではないかと私は思っている。
ベンチャー企業には、新しい技術やビジネスモデルでユーザーのニーズにマッチした新しいサービスや製品を生み出そうとしたり、ソーシャルベンチャーのように地域の課題を解決するようなサービスや製品を展開する企業もある。
このようにただ労働だけでなく、「やりがい」や「自己実現」のために働く場を提供するベンチャー企業は、地方の「魅力ある仕事」作りには欠かせない存在であるといえるのではないだろうか。
表を見て頂きたい。
最近ウェブサイトが公開された「地域経済分析システムRESAS」から、ランダムに地域を選び、「労働生産性」という軸で、東京と比較を行った表である。
「労働生産性」は、「その地域に存在する企業の従業員1人の生産活動によって新たに生み出された価値の額」を示している。大体の地域が、300万円台から400万円台前半あたりで推移しているのに対して、東京都の欄だけ700万円台と大きな差が出ている。
このデータが示すのは、全国の中で東京が集中的に価値を創造しているということである。東京では、多くの企業が生まれ、新しいサービスや製品が生まれている。ビジネスのスピードが他の地域に比べて圧倒的に速く、多くの価値を生み出しているのである。
東京と互角に張り合うことは難しいまでも、地方も生産性を高めていく必要がある。その一端を担うのが、ベンチャー企業である。イノベーション、IT技術を活用していく地方発ベンチャー企業を増やし労働生産性を高めていくことが重要であると、このデータからもわかる。
●地方発ベンチャー企業には、独自性がある
ニュースイッチのベンチャー道では、地方発ベンチャーの特集を行っていく。多くの方々から良く聞かれるのは、本当に地方にそんな魅力あるベンチャー企業があるのかという質問である。
答えは、YES。
インターネットがあればどこでも仕事ができるようになったといわれる現在でも、東京には多くのITベンチャー企業が集まっており、起業家やそのステークホルダー間の対面による情報合戦が繰り広げられている。そのため、ITサービスを展開する地方発ベンチャー企業には、東京に拠点を置くことがビジネス展開上、有利となりやすい。
しかし、この情報合戦の波にさらされないことで、逆に地域の独自性を育み、その特性を活かしたベンチャーが生まれているのも事実である。そのため、地方に出向くと、東京ではなかなか生まれない特色ある事業を展開しているベンチャー企業によく出会うことができる。
今回ニュースイッチでは、地方発ベンチャー企業を取り上げさせて頂く。微力ではあるかもしれないが、全国あるいは世界へ知名度を上げていって頂く手助けとなればと考えている。
(トーマツベンチャーサポート 佐藤 史章)