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情報セキュリティー人材の国家資格、社会的な評価を得られるか

2020年までに3万人超に。有資格者には相応の待遇を
情報セキュリティー人材の国家資格、社会的な評価を得られるか

情報処理安全確保支援士のロゴマーク

 情報セキュリティー人材の新しい国家資格である「情報処理安全確保支援士(通称・支援士)」の試験が2017年4月から始まる。政府は2020年までに3万人超の資格取得者を目標に据えている。高度なセキュリティー人材を増やすことはわが国にとって喫緊の課題である。新制度が弾みとなって人材の育成・活躍が大きく進展することを望む。

 情報処理安全確保支援士は登録制で、3年ごとに更新する。登録制としたのは、スキル向上と人材の“見える化”を図るためだ。サイバー攻撃は年々巧妙化する。情報セキュリティーに関する最新動向を継続的に学び、資格取得後も毎年のオンライン講習や20―30人規模の集合演習を義務付けている。

 講習や演習の受講費は3年間で15万円程度。企業や団体に所属し、業務の一環として登録するのであれば経費の範ちゅうともいえる。ただ公的資格の維持費用として15万円は安くない。費用に見合う受講内容や利点が問われよう。

 試験機関となる情報処理推進機構(IPA)は、支援士の資格者名簿をウェブ上でも公開する。人材活用を促進するのが狙いだ。ただ現時点では、名簿を公開することが支援士の仕事の獲得に結びつくかどうかイメージしにくい。

 具体策は17年度以降の課題だ。例えば政府系の情報システム案件に応札する場合など支援士に関する規定を盛り込めば、国家資格としての存在意義が高まりそうだ。

 国家資格としての道が示されたことで、情報セキュリティーの専門家を目指す若者が増えると予想される。欧米の例を見ると、こうした分野で才能のある人材は中高生のころから独学でプログラミング言語を身につける人が少なくない。

 そうした若者が、活躍の場を見いだせずに愉快犯に走ったり、詐欺などの片棒を担ぐようになっては社会的損失だ。

 情報セキュリティー人材が社会的にも評価され、相応の待遇を得ることで、情報化社会が健全に発展していく好循環が生まれることを期待する。
日刊工業新聞2016年12月7日
原直史
原直史 Hara Naofumi
情報セキュリティの国家資格が新設されるという。これまで、人材が自然と育つことに任せていた観があるこの重要領域に国家資格が用意されれば人材育成につながるだろう。課題はこの資格を取得した人材を企業やその他の組織がどう評価し、どう活用するかだ。特にこの資格は常に時代の最先端で急速に変化していく技術を対象としたものだけに、その価値を維持し、高めていくことは容易でない。資格は取ったが、それが収入につながらないという事態は避けてほしいものだ。

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