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「六条麦茶」のボトルデザインが江戸切子模様になった理由

アサヒ飲料、3Dプリンターを活用し開発期間を短縮
「六条麦茶」のボトルデザインが江戸切子模様になった理由

江戸切り子のペットボトル表面への表現に、3Dプリンターを活用した

 アサヒ飲料は飲料新商品の容器デザインに、3Dプリンターを活用する。2017年に合計6種類程度の活用を目指す。飲料容器デザインは、通常のアルミニウム金型だと発注から納入まで3週間程度かかる。だが、3Dプリンターは1日でできるという。飲料業界は新商品の競争が激しく、スーパーやコンビニエンスストアの店頭で生き残るためにも、開発期間の短縮が求められており、3Dプリンターの利点を生かす。

 3Dプリンターはアサヒグループとして、14年に導入した。当初はビールの缶や業務店で注ぐグラスのデザイン、クリーミーな泡を出すビールサーバーの部品設計などに使用していた。だが、16年4月に発売した「六条麦茶」の660ミリリットルペットボトル商品で、飲料にも初めて利用した。

 六条麦茶のボトルデザインは合計4種あり、伝統工芸の江戸切子模様を表面に加工した。切子独特の彫り込みをペットボトルにうまく表現することに加え、生産効率を考えると切子デザインが変わっても660ミリリットルの液面の高さを同じにすることが必要。デザインは調整のために、彫り込みの深さを変える作業が煩雑だったという。外見の美しさとともに、強度を保つ必要もある。

 これらの課題を、3Dプリンターを活用することで解決した。17年は、麦茶以外の飲料に活用を広げる。強炭酸でも強度を保つボトルの開発や寸法、安定性が問題となる自動販売機専用商品、コンビニ限定商品、ホット飲料の容器も念頭に置いている。また、各ブランドの位置付けに沿ったデザイン容器を開発し、ブランドイメージを高める。
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
個人的にはペットボトルのデザインで商品を決めることはないのだが、他品種の食品・飲料業界において3Dプリンターはもっと広く活用の可能性がありそう。

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