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ビジネスの成功に不可欠なスキル。今、雑談力が見直されている理由

通信講座や研修会が活況を呈す
 雑談はビジネスの潤滑油といわれ最近のビジネス雑誌には特集が多く組まれている。書店にも雑談をテーマとした書籍がビジネスコーナに大量に陳列されている。

 雑談を時間を無意味に過ごす「ムダ話」と考えている人もいる。仕事中の雑談は仕事とは関係ない話しのように見えるが、後から仕事に役立つことは多くある。

 雑談には相手の心をほぐし、自分を強く印象づける効果もある。今、雑談力が見直されている。かつては無駄話、時間つぶしのようなネガティブなイメージを持つ人が多かったが、ビジネスの成功につながる重要なスキルとして見直されているのはなぜか。

 雑談には場をなごませ、相手との距離を縮めるコミュニケーションの基礎となる重要な機能があるからである。

 昨今、メールや会員制交流サイト(SNS)などコミュニケーションツールが発達し、人と人が直接会話する機会が減ったことで、気軽に話ができない悩みを抱く方々が増えている。そのために仕事に役立つ通信講座や研修会が開催されている。

 相手が気持ちよく話せて、自分に親しみを感じてもらえる。そんな心地いい雑談のカギを握るのが、相づち、間の取り方といわれている。

 間の取り方とは、話すテンポやスピード、心の距離のこと。雑談の目的は、気持ちよく言葉をやりとりして、リラックスした雰囲気を作ること。それだけに、話の内容以上に間の取り方が重要になる。

 雑談が苦手な人は、話を一方的に続けてしまう人が多い。間の取り方を身につけることで、自然なキャッチボールができるようになる。

 アサヒグループホールデイングスの泉谷直木会長は、「雑談力は重要なビジネススキルの一つだ」と言う。

 雑談の「雑」には混ぜるという意味がある。「談」は「言」と「炎」という字からできている。混ぜ合わせされた何かを言葉の炎で加熱して、新しいものを生み出していく。

 雑談というのは、本来そういう力強いものなのである。混ぜるものが増えれば増えるほど化学反応は活発になり、思いもよらないものがそこから立ち上がってくる。

 雑談とは「言葉の炎」で化学反応を起こすこと。いい会社は必ず「雑談」を大切にしている、と話している。
(文=上野延城)
日刊工業新聞2016年11月24日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
最近、インタビューで若い記者がいきなり本題から入る、という話をよく耳にします。記者に限らず相手の緊張をほぐすことは、コミュニケーションの第一歩ではないでしょうか。

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