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「電気化学工業の父」が残した伝統ある水力発電所を大規模改修

JNCが熊本県内の2発電所に93億円投資
「電気化学工業の父」が残した伝統ある水力発電所を大規模改修

内大臣川発電所

 JNCは約93億円を投じ、熊本県山都町の内大臣川発電所と津留発電所の大規模改修を始めた。両発電所とも完成から約100年が経過したため、高効率な水車や発電機に置き換えることで許可取水量はそのままに最大出力や年間発電量を引き上げる。内大臣川発電所は2020年6月にも最大出力を従来の7300キロワットから7900キロワットに、津留発電所は21年3月に同1万700キロワットから1万1100キロワットに高める計画。

日刊工業新聞2016年11月24日



「歴史と使命」


 「私たちは水俣病を発生させた責任を背負っている」と戒めるのは、JNC社長の後藤泰行さん。その反省に立ち、全社一丸となって“責任の完遂”に取り組んでいる。

それだけに「人々の生活を豊かにし、社会の進歩に役立つ製品を送り出す使命がある」と強調。4月に迎えた新入社員にも、歴史と向き合い使命を全うするよう求める。

「素材産業を取り巻く環境は大きく変わった。JNCも、商品軸から顧客軸へとシフトしなければ生き残れない」とキッパリ。次の戦略を担う、新たな仲間たちに期待。

日刊工業新聞2016年4月15日

永里善彦
永里善彦 Nagasato Yoshihiko
「電気化学工業の父」と称され、チッソ、旭化成、積水化学工業、積水ハウス、信越化学工業の実質的な創業者である野口遵は、100年以上も前にエネルギー源として水力発電所を南九州に建設した。その歴史ある発電所が、クリーンエネルギーに対する社会的要請が高まる中で、能力増強と安定供給を実現するために改修される。歴史のロマンを感じる、ほのぼのとしたニュースである。

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