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「下町ボブスレー」いよいよ最終回!アンカーを務めるのは?

上田製作所社長、「失敗できない緊張感」のもと若手の成長促す
 上田製作所は下町ボブスレーネットワークプロジェクト推進委員会で部品加工に携わる。ソリの1号機から各種部品を加工しており、これまで手がけた部品は20点以上。同社では一貫して若手社員が加工を担当する。「技術が向上するように毎回違う部品を選ぶ」という上田大輔社長に取り組みを聞いた。

 ―加工する部品を選ぶポイントは。
 「担当する若手社員のことを考え、“これならできる”ではなく“このくらいの技術に達してほしい”と思うモノを選ぶ。完成までの手順全てを若手社員に任せる。人材育成につながっている」

 ―本業の加工における人材育成とは違いがあるのでしょうか。
 「短納期の上、量産品でない一点物であり材料も支給されているため失敗できない。緊張感を持った加工を経験できる。また先輩のお手本がない。自分で考え、やってみて、困ったら先輩に聞くといういい流れができる」

 ―社内の雰囲気も変わりそうですね。
 「実際に、上司や先輩と若手社員のやりとりが増えた。また若手社員は手がけた部品をさびないようにメッキして持ち帰った。初めて自分が作ったモノを記念に残せて、達成感を感じられたようだ」

 ―プロジェクトに対する思いを教えてください。
 「大田区の技術を世界に広めたいという強い思いで部品加工を手伝うと決めた。オリンピックはあくまで手段。最終的に大田区を会社と見立てて受注を取れるようになるとうれしい」

(近年導入した最新型の複合機)

【スイッチ製造で50年以上の歴史】
 上田製作所は金属の切削加工、およびスイッチの設計、製造を手がける。両事業とも品質、費用、納期を徹底管理し、信頼を高めることで受注拡大を目指す。近年同社では、複合機を多数導入した。合計7台で、複雑形状の加工を可能にしている。若手社員の人材育成に力を注ぎながら、技術力の向上を図る。

 圧力スイッチとメカニカルスイッチ製造に関しては50年以上の歴史がある。独自のノウハウを蓄積し、顧客に提案することも多いという。最新設備と経験を兼ね備え、高性能な加工や製品を提供する。
日刊工業新聞2016年11月16日
斉藤陽一
斉藤陽一 Saito Yoichi 編集局第一産業部 デスク
 写真の機械はシチズンマシナリーの複合旋盤でしょうか。「JIMTOF2016」(第28回日本国際工作機械見本市)が開催中なため、どうしても機械に目が行ってしまいます。それはともかく、下町ボブスレーネットワークプロジェクト推進委員会のキーパーソン連載が最終回となりました。これまでの全20回の記事はすべてニュースイッチにアップしていますので、ぜひご覧ください!

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