東芝、テレビ追加リストラ。「年末商戦でどこまで戦えるかを見極める」
システムLSIやディスクリートもテコ入れ。復活までまだ一山も二山も
東芝が追加の構造改革に着手する。テレビやシステムLSI・ディスクリート(単機能)半導体、産業システムなど営業赤字の事業や収益性の低い事業が対象。東芝は不適切会計の発覚を契機に2016年3月期に大がかりなリストラを実施し、エネルギー、社会インフラ、半導体の3事業を注力分野として絞り込んだ。半導体メモリーの好調で足元の業績は上向くが、さらなる構造改革により収益基盤を強固にし完全復活を急ぐ。
東芝の16年4―9月期連結決算は、事業を絞り込んだことや為替の円高進行もあり売上高は前年同期比4・3%減の2兆5789億円となった。ただ営業損益は967億円の黒字(前年同期は891億円の赤字)に転換した。
営業損益の黒字化は、NAND型フラッシュメモリー事業の好調が要因の一つ。中国のスマートフォンメーカーが大容量化を進めたことで、需給バランスがほぼ均衡に推移し、販売価格を維持できた。同事業は円高の影響で減収減益となったものの、当初計画より大幅に上振れた。
また15年度に実施したリストラ効果で、課題事業の収益性が改善したことも黒字化に寄与した。平田政善代表執行役専務は「会社の立て直しの大筋は見えてきた」と総括した。
一方、いまだに浮上できない分野も明らかになった。平田専務は「下期(10月―17年3月)に約600億円の構造改革費を計上し、残りの不採算事業の改革を進める」方針を示す。
最大の懸念はテレビ事業だ。テレビ関連分野の16年4―9月期営業損益は105億円の赤字。さらに海外拠点の整理関連費用100億円の計上などで、17年3月期通期では240億円の赤字に落ち込む見通し。
同事業については国内外での人員削減や、海外での自社事業からの撤退などを行いブランド供与型ビジネスへ移行するリストラを実施。17年3月期の黒字化を目指していたが、赤字体質から抜け出せていない格好だ。「まずは年末商戦でどこまで戦えるかを見極める。その上であらゆる対策を検討する」(平田専務)と説明する。
また営業利益率が低い事業のテコ入れにも着手する。システムLSIやディスクリート半導体を主力とするデバイスは、17年3月期の実質的な営業利益率が0・9%にとどまる見通し。「製品ラインアップが不十分。競争力の低い製品が多いのも課題」(東芝幹部)という。今後は不採算製品からの撤退と同時に、他社との連携も視野に入れ、強い製品作りも必要になる。
また中核部門のエネルギー、社会インフラの17年3月期の営業利益率も振るわない。「せめて5%は必要というのが社内の共通認識。下期にもう一段の対策を打つ」(平田専務)と方針を示す。
東芝は不適切会計問題を契機とした構造改革で、七つあった社内カンパニーを四つに減らした。会社の形を変えた大リストラと比べると、今回の取り組みは小規模ではある。ただ残りの課題事業に絞った追加対策は、中核分野で成長を実現するための重要なステップとなる。
(文=後藤信之)
東芝の16年4―9月期連結決算は、事業を絞り込んだことや為替の円高進行もあり売上高は前年同期比4・3%減の2兆5789億円となった。ただ営業損益は967億円の黒字(前年同期は891億円の赤字)に転換した。
営業損益の黒字化は、NAND型フラッシュメモリー事業の好調が要因の一つ。中国のスマートフォンメーカーが大容量化を進めたことで、需給バランスがほぼ均衡に推移し、販売価格を維持できた。同事業は円高の影響で減収減益となったものの、当初計画より大幅に上振れた。
「会社の立て直しの大筋は見えてきた」
また15年度に実施したリストラ効果で、課題事業の収益性が改善したことも黒字化に寄与した。平田政善代表執行役専務は「会社の立て直しの大筋は見えてきた」と総括した。
一方、いまだに浮上できない分野も明らかになった。平田専務は「下期(10月―17年3月)に約600億円の構造改革費を計上し、残りの不採算事業の改革を進める」方針を示す。
最大の懸念はテレビ事業だ。テレビ関連分野の16年4―9月期営業損益は105億円の赤字。さらに海外拠点の整理関連費用100億円の計上などで、17年3月期通期では240億円の赤字に落ち込む見通し。
同事業については国内外での人員削減や、海外での自社事業からの撤退などを行いブランド供与型ビジネスへ移行するリストラを実施。17年3月期の黒字化を目指していたが、赤字体質から抜け出せていない格好だ。「まずは年末商戦でどこまで戦えるかを見極める。その上であらゆる対策を検討する」(平田専務)と説明する。
また営業利益率が低い事業のテコ入れにも着手する。システムLSIやディスクリート半導体を主力とするデバイスは、17年3月期の実質的な営業利益率が0・9%にとどまる見通し。「製品ラインアップが不十分。競争力の低い製品が多いのも課題」(東芝幹部)という。今後は不採算製品からの撤退と同時に、他社との連携も視野に入れ、強い製品作りも必要になる。
また中核部門のエネルギー、社会インフラの17年3月期の営業利益率も振るわない。「せめて5%は必要というのが社内の共通認識。下期にもう一段の対策を打つ」(平田専務)と方針を示す。
東芝は不適切会計問題を契機とした構造改革で、七つあった社内カンパニーを四つに減らした。会社の形を変えた大リストラと比べると、今回の取り組みは小規模ではある。ただ残りの課題事業に絞った追加対策は、中核分野で成長を実現するための重要なステップとなる。
(文=後藤信之)
日刊工業新聞2016年11月15日