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国内デジカメ各社はどうやって生き残るのか。販売計画から見えてきた戦略

コンデジは大幅減で、カシオ以外は全社マイナス予想。とにかく高価格帯へ!
 国内の主要デジタルカメラメーカー7社の2015年度の販売計画が出そろった。スマートフォンの普及などで市場規模は5年連続の縮小を予測。これを受けほぼ全ての企業が厳しめの計画を立てるなど、慎重な姿勢をみせる。各社は高収益のレンズ交換式カメラや高価格帯モデルに一層力を入れ、利益を追求する構えだ。

 14年度にイメージング事業で利益を伸ばしたソニーと、デジカメ事業が黒字転換した富士フイルム。15年度はミラーレスカメラや交換レンズへの注力と同時に製品の絞り込みを進め、確実に利益を出す戦略にこだわる。14年度に開発モデルを絞り込んだパナソニックも高級機路線を維持。通信機能や4Kを軸に商品力の強化を進める。同事業で6期連続の赤字のオリンパスは、数を追わない戦略で収支トントンまで持ちこみたい考えだ。

 老舗2強のキヤノンニコンは、市場予測とほぼ同程度の出荷を計画する。キヤノンは4月に当初計画を下方修正したが「米国の景気回復や新製品効果で、4月以降は好転する」(田中稔三副社長)。ニコンの御給伸好常務執行役員も「10月以降で市場の下げ幅は縮小し、米国やアジアの販売が期待できる」と、下げ止まりに期待を寄せる。

 唯一プラス成長をもくろむのはカシオ計算機。自分撮りなどの独自路線を貫いて赤字体質から脱却。単価も上昇し「利益貢献路線に乗ってきた」(高木明徳専務)。

 カメラ映像機器工業会(CIPA)が2月に予測した15年(暦年)のデジカメ市場の見通しは、前年比20%減の3470万台。このうち一眼レフカメラとミラーレスを合わせたレンズ交換式は同5・8%減の1300万台の一方、コンパクトデジカメは同26・7%減の2170万台と大幅減を見通す。高性能カメラを搭載したスマートフォンの普及や中国の経済成長の鈍化、欧州の景気不安などが響くと見られる。
日刊工業新聞2015年05月19日 2面
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
何年も前からどこが撤退するのかと言われながら、各社事業を存続している。今年は分岐点。

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