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トランプは迷っている!?勝利演説をスピーチライターが分析

8年前のオバマとの相違点。決め台詞なし、全体を貫くコンセプトもなし
トランプは迷っている!?勝利演説をスピーチライターが分析

トランプ氏(左)と副大統領候補のペンス氏。トランプ公式サイトより

 共和党候補のドナルド・トランプが、11月9日、米大統領選挙で勝利しました。この結果を受け、トランプが掲げている政策を分析することによって、不安と期待それぞれの意見がネットに上がってきています。なるほどと思うことも多々あるのですが、スピーチライターの立場から、トランプが行った勝利演説の原稿や話し方を分析することで、また違った景色が見えてきます。そこで、トランプの勝利演説から、今の状況と今後を占ってみたいと思います。

 まず、とても意外だったことなのですが、トランプと言えば “MAKE AMERICA GREAT AGAIN” という決め台詞がありますが、今回の勝利演説ではこの重要なキャッチフレーズが使われませんでした。これはとても重大な変更です。

 7月23日の共和党の代表を決める予備選挙での勝利演説では、演説の最後で次のように非常に強くカッコ良くこの決め台詞を使っています。

“We Will Make America Strong Again.
We Will Make America Proud Again.
We Will Make America Safe Again.
And We Will Make America Great Again.”


 これと同じフレーズを勝利演説で使っても構わないはずですが、トランプはこのフレーズ封印しました。

 このような重大な変更というのは、普通スピーチライターにはできません。ということは、トランプ自身の中で大きなコミュニケーション戦略の変更があったことが伺えます。

 そして、この戦略の変更は、おそらく開票が進んで勝利を確信した後になって、スピーチライターに伝えられたのではないかと思われます。というのは、原稿の出来が、事前に準備していたとは思えないほど散漫なのです。正直なところいまいちです。

 これは、8年前のオバマの勝利演説と比較するとわかりやすいです。

 オバマの原稿は非常によく練られたもので、“Yes, we can”というコンセプトを一貫して伝えるように構成されています。

 そして、アンニクソン・クーパーという106歳の黒人女性を取り上げて、黒人であり女性であるという二つの理由から投票権がなかったクーパーさんが、この日始めて投票したというエピソードを紹介し、 “Yes, we can” というコンセプトがより深く感情に刺さるように工夫されています。

 もちろん、最後には“Yes, we can”のフレーズもしっかりと使われています。

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ニュースイッチオリジナル
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
蔭山さんにはこれまでもオバマの広島スピーチや安倍首相の米議会演説を分析してもらいました。スピーチライターならではの視点で今回もとても示唆に富む内容になっています。

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