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世耕大臣が国会質疑対応でテレワーク。経産省、残業大幅に減らす

強固なセキュリティー構築。1日当たり数百時間の残業時間短縮に
世耕大臣が国会質疑対応でテレワーク。経産省、残業大幅に減らす

国会で答弁する世耕大臣(世耕弘成オフィシャルサイトより)

 経済産業省は情報通信技術(ICT)を活用した在宅勤務などオフィスに依存しないテレワークを導入し、国会質疑対応で待機する職員の残業時間を大幅に削減する。ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)を活用した国会答弁集作成の高度化も検討し、いずれも2017年の次期通常国会からの本格導入を目指す。

 “国会待機”の効率化は霞が関の国家公務員の長時間労働是正に有効。行政改革の目玉施策として「他省庁に広めたい」(世耕弘成経済産業相)。1日当たり数百時間の残業時間短縮につながりそうだ。

 国会の委員会での質疑は、議員が事前に質問要旨を通告し、担当者が答弁をつくる。関係部局とのすり合わせが必要で、完成までに数時間を要する。通告が遅くなるほど、残業が増え、深夜に及ぶこともある。質問数によっては数百人が待機する。翌日は早朝から大臣との「答弁勉強会」(通称)を実施するため、担当者の負担は重い。

 こうした国会待機での長時間労働是正に向けて、経産相はテレワークを活用する。開会中の臨時国会から一部導入した。強固なセキュリティーを持つクラウド環境を構築。担当者はそれぞれ答弁を書き込む。

 世耕経産相がタブレット端末からアクセスし、自宅などで“予習”。追加で必要となるデータや疑問点を入力し、担当者が応じる流れだ。従来、2時間程度を要していた朝の答弁勉強会を数十分程度に短縮できた。
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日刊工業新聞2016年11月7日
原直史
原直史 Hara Naofumi
テレワークが普及することに異論はないが、省庁の残業の本質的な問題は、国会議員からの質問通告が遅いことだと聞く。これを解決しないと、職場での残業は減ったが、自宅への持ち帰りが増えたということになりかねない。これでは、適切なワークライフバランスは実現できない。国家公務員がワークライフバランスのとれた生活を送ることは、日本全体のロールモデルともなる。議員の人たちの、公務員の勤務実態に対する理解を高めて、ぜひ実現してもらいたい。

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