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スズキ、インド200万体制は1年前倒しで達成か。新工場で「バレーノ」生産

国内需要がおう盛。“インドのトヨタ”になる日も夢ではない?
スズキ、インド200万体制は1年前倒しで達成か。新工場で「バレーノ」生産

インドのマルチ・スズキの生産ライン

 スズキは2017年1月に稼働予定のインド・グジャラート州の新工場で、小型ハッチバック「バレーノ」を生産することを決めた。バレーノはインドで生産し、日本を含む世界へ輸出する世界戦略車。新工場は港に近く、輸出に適している。第1弾となるバレーノは初年度に年間10万台前後の生産を計画、その後順次車種を拡大する。

 グジャラート工場の生産車種が明らかになるのは初めて。バレーノは現在、インド子会社のマルチ・スズキのマネサール工場(ハリアナ州)で生産し、高級路線の新販売網「ネクサ」で取り扱う。インドでは納車待ちになるほどの人気という。日本では3月に発売し、欧州や中南米、豪州にも輸出している。

 マルチのハリアナ州の既存2工場から輸出港までは直線距離で約1000キロメートルもある。一方、グジャラート工場は同300キロメートル以内と近い。

 またインドのモディ首相はインド製品を世界へ輸出する「メークインインディア構想」を掲げる。スズキはインドのトップメーカーとして、新工場で世界戦略車を生産し期待に応える。

 マルチのインド販売は、9月に14万6000台超と単月で過去最高を記録。既存2工場の年産能力は約150万台で生産が需要に追いつかない状況にある。このため、新工場は稼働時期を当初計画より約半年前倒しした。

 グジャラート工場は、スズキの全額出資子会社「スズキ・モーター・グジャラート(SMG)」が建設する初の単独出資によるインド生産拠点。新工場稼働により20年にインド全体で年産200万台体制が整う。

(インド新工場の生産車種第1弾「バレーノ」)
日刊工業新聞2016年10月31日
中西孝樹
中西孝樹 Nakanishi Takaki ナカニシ自動車産業リサーチ 代表
記事にある通り、グジャラートの第一工場(生産能力25万台)は「バレーノ」で2017年2月に稼働を開始する。第二工場(同25万台)は2019年中の稼働予定であったが、2018年央には稼働開始を早めなければならないほど、インド国内需要の拡大は著しい。2020年の200万台体制は1年以上前倒しで実現する公算が高い。2020年までにはグジャラートの第三工場稼働の可能性もある。グジャラート3工場を倍増させる第二期プロジェクトが完成する時、スズキのインド生産能力は300万台に達する。インドのトヨタとなる日も夢ではない。

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