グラウンドの芝がヤンマーの本質的なブランド価値を高める
土壌改良の技術で練習場を再生。ベトナムで販売拡大を後押し
ヤンマーが世界でプロスポーツを活用したマーケティングを強めている。50年以上携わるサッカー、ヨットのプロチーム・競技の支援に加え、支援するチームとの連携により実現した農業機械の販売や農業技術を生かした練習環境の改善にも乗り出した。ブランドイメージ向上だけでなく特定の製品の拡販や各国の産業発展にもつなげる方針だ。
同社が3月、タイ・バンコクで開いた新製品発表会で登場したのはスポーティーなトラクター。スポンサーとなっている英国のサッカーチーム、マンチェスターユナイテッドとの連携で生まれた特別仕様車だ。チームカラーの赤を基調とし、ステッカーにエンブレムを採用。農機と世界屈指の強豪チームの珍しいタッグは注目を集め、大勢のメディアが詰めかけた。
農業関連事業の有望市場であるタイでは、サッカーは大人気スポーツ。近年、地元資本による英国のサッカーチーム買収が相次いだこともあり、英プレミアリーグの試合も人気がある。その名門チームと組んだ特別仕様トラクターで若い農業従事者の心をつかむ。3000台限定で発売。すでに販売台数は1500台を超えた。
製品に対する誇りと憧れを感じてほしい―タイでの試みに込めた思いだ。同社は海外売上比率が50%近くを占めるものの、日本では農機メーカーのイメージが強く、欧州では世界シェア6割を握るヨット用エンジンのメーカーと認識されるなど、地域ごとに企業イメージが異なり、グローバル企業としての認知度が低かった。
「ヤンマーのブランドイメージをエルメスのようにしてほしい」という山岡健人社長のひと言をきっかけに2013年「プレミアムブランドプロジェクト」をスタート。
「自社の農機やエンジンを搭載した機械を使う顧客に、誇りと憧れを持ってもらえることが世界最高峰のブランドの証(あかし)」(荒木健ヤンマーホールディングス執行役員スポーツマーケティンググループゼネラルマネジャー)とし、製品のデザイン一新と合わせ、スポーツを活用したマーケティングを始めた。
マンチェスターユナイテッドとのスポンサー契約締結を皮切りに、米国ではヨットの最高峰レース「アメリカズカップ」で世界一のチームを全面支援。プロサッカーチームのスポンサーにもなった。一連の取り組みで中長期的なブランドイメージの再構築には道筋がつき、現在は国や製品を絞り込んだビジネス直結型のマーケティングを展開。タイでのトラクター販売で活動は「進化した」(荒木執行役員)。
「最も手応えを感じている市場」(同)が14年8月に農機販売の現地法人を設立したベトナムだ。同国サッカー代表チームのスポンサーを務め、土壌改良の技術を活用して練習場の芝の再生にも着手。3カ月程度で改善し、練習場にはヤンマーの名が付いた。事業でも自ら手を挙げる特約店が相次ぎ、35店の販売網が構築できた。
今後はカンボジアやラオスなどにも活動を広げ、自社の技術を通じて農業のレベルを引き上げていきたい考えだ。
(文=大阪・窪田美沙)
同社が3月、タイ・バンコクで開いた新製品発表会で登場したのはスポーティーなトラクター。スポンサーとなっている英国のサッカーチーム、マンチェスターユナイテッドとの連携で生まれた特別仕様車だ。チームカラーの赤を基調とし、ステッカーにエンブレムを採用。農機と世界屈指の強豪チームの珍しいタッグは注目を集め、大勢のメディアが詰めかけた。
農業関連事業の有望市場であるタイでは、サッカーは大人気スポーツ。近年、地元資本による英国のサッカーチーム買収が相次いだこともあり、英プレミアリーグの試合も人気がある。その名門チームと組んだ特別仕様トラクターで若い農業従事者の心をつかむ。3000台限定で発売。すでに販売台数は1500台を超えた。
製品に対する誇りと憧れを感じてほしい―タイでの試みに込めた思いだ。同社は海外売上比率が50%近くを占めるものの、日本では農機メーカーのイメージが強く、欧州では世界シェア6割を握るヨット用エンジンのメーカーと認識されるなど、地域ごとに企業イメージが異なり、グローバル企業としての認知度が低かった。
「ヤンマーのブランドイメージをエルメスのようにしてほしい」という山岡健人社長のひと言をきっかけに2013年「プレミアムブランドプロジェクト」をスタート。
「自社の農機やエンジンを搭載した機械を使う顧客に、誇りと憧れを持ってもらえることが世界最高峰のブランドの証(あかし)」(荒木健ヤンマーホールディングス執行役員スポーツマーケティンググループゼネラルマネジャー)とし、製品のデザイン一新と合わせ、スポーツを活用したマーケティングを始めた。
マンチェスターユナイテッドとのスポンサー契約締結を皮切りに、米国ではヨットの最高峰レース「アメリカズカップ」で世界一のチームを全面支援。プロサッカーチームのスポンサーにもなった。一連の取り組みで中長期的なブランドイメージの再構築には道筋がつき、現在は国や製品を絞り込んだビジネス直結型のマーケティングを展開。タイでのトラクター販売で活動は「進化した」(荒木執行役員)。
「最も手応えを感じている市場」(同)が14年8月に農機販売の現地法人を設立したベトナムだ。同国サッカー代表チームのスポンサーを務め、土壌改良の技術を活用して練習場の芝の再生にも着手。3カ月程度で改善し、練習場にはヤンマーの名が付いた。事業でも自ら手を挙げる特約店が相次ぎ、35店の販売網が構築できた。
今後はカンボジアやラオスなどにも活動を広げ、自社の技術を通じて農業のレベルを引き上げていきたい考えだ。
(文=大阪・窪田美沙)