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阪神高速の補強工事がスピードアップ!溶接の切断時間が6割短縮に

日立造船が施工技術を開発。プラズマ手動から自動専用機に切り替え
阪神高速の補強工事がスピードアップ!溶接の切断時間が6割短縮に

開発した高速道路下溶接部の自動切断機(中央奥)

 日立造船は阪神高速道路高架橋の鋼床版補強工事で、既存溶接部の切断工程時間を約6割削減でき、切断品質も高められる施工技術を開発した。従来のプラズマ手動切断に替えて、専用機で自動で切断する。これにより、切断を含む補強工事全体では施工時間を従来比約2割削減できる見通し。2016年度中に現場で施工試験を進め、17年度から実際の工事に適用を目指す。

 鋼床版補強工事は、主に大型車通行が多い区間で、長期使用により発生した床構造物の疲労亀裂の拡大を防ぐ工事。一般的には道路上部から補修するため車線規制が必要だが、阪神高速道路は車線規制不要になる下面補強工法を開発し、確立を目指している。道路下部のUリブとデッキプレートの溶接部を切断してボルトと当て板で補強する工法だ。

 日立造船は同工法に関する施工技術を阪神高速道路や日本橋梁、子会社のニチゾウテック(大阪市大正区)と共同で開発し、切断技術を担当した。Uリブの側面に小型の自動切断機を取り付け、内蔵した円盤状のカッターを回転させて疲労亀裂の起点となる溶接部を切断する。

 実験段階ではプラズマを用いて手動で切断していたが、切断精度に課題があり、切断面の仕上げも必要だった。このため実際の工事への適用に向け品質を確保しながら施工効率を高めることが求められていた。日立造船は海洋向け鋼構造物の切断技術を応用し、切断面を滑らかにすることで作業時間を短縮した。

 日立造船は切断技術の工事への適用で橋梁のメンテナンス事業を拡大する。
日刊工業新聞2016年10月18日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
老朽化が進む首都高も28年度までに大規模更新・修繕に6663億円に投入する。ただ建設現場は慢性的な人手不足で工事に人が集まらないのではないか、という大きな課題がある。ぜひ横展開してもらいたい。

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