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太陽光バブル終焉か?シャープが首位陥落の可能性も

太陽電池主要4社の14年度実績、前年度比7%減
太陽光バブル終焉か?シャープが首位陥落の可能性も

太陽電池4社の実績・目標

 国内太陽電池主要4社合計の2014年度の太陽光パネルの販売・出荷実績は431万キロワットとなり前年度比7%減となった。再生可能エネルギーで発電した電力の固定価格買い取り制度が12年に始まって以来、急拡大した太陽光パネルの需要は当初の予想よりも1-2年早くピークアウトを迎えた模様だ。制度変更や買い取り価格の低下が発電用パネルの販売にブレーキをかけた。企業別では住宅用に集中するパナソニックが前年度比横ばいを維持。シャープ京セラなども安定した需要がある住宅用にシフトする。
 
 シャープの14年度の販売実績は前年度比15%減の177万キロワットだった。15年度は50万キロワット少ない110万キロワットの販売を計画する。京セラの15年度の販売計画は前年度横ばいの120万キロワットで、京セラが国内首位に躍り出る可能性が出てきた。

 三菱電機は13年度末までに年65万キロワットまで生産能力を引き上げていたが、生産・出荷とも50万キロワットにとどまった。委託生産を中止した現在の能力は年50万キロワットに縮小。15年度は新築住宅向けの需要を見込むが、発電用の見通しがつかない。

 市場変調の要因が発電用の需要停滞だ。14年度は電力各社が新設する再生エネ発電所との接続を保留し、太陽光パネルの出荷が停滞した。15年からは電力会社が発電した電力の買い取りを停止できる出力抑制の頻度が上がる制度改正があった。さらに1キロワット時当たりの買い取り価格も12年度の40円が7月から27円へと下がり、投資意欲が冷え込む。太陽光ブームが一段落しそうだ。

 各社とも狙いを定める住宅用は年30万件近い安定した需要がある。パナソニックは発電効率の高い太陽光パネルの性能を発揮しやすい住宅用に特化し、発電用の需要停滞の影響を抑えた。京セラも15年度、住宅用の比率を前年度比5ポイントアップの35%に引き上げる。シャープも住宅用パネルの生産に特化する。
日刊工業新聞2015年05月15日 建設・エネルギー・生活面
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
日本版FITと呼ばれる固定価格買い取り制度が呼び水となった太陽光パネルの需要拡大。業界団体の太陽光発電協会の統計発表がまだですが、国内で半分以上の需要を抑える主要4社の14年度実績は前年度割れ。受注が14年度、出荷が15-16年度にそれぞれピークを迎えると予想されていましたが、前倒しでピークアウトするかもしれません。急激にシュリンクさせないためにも、手堅い普及策が求められます。

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