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下請法の運用強化、親事業者に「現金支払い」要請

手形支払いの通達見直し。各業界に自主行動計画の策定を要請
 政府が下請け取引の適正化に乗り出している。年内をめどに「下請代金支払遅延等防止法」(下請法)の運用基準や支払手形に関する通達を見直し、親事業者に対して下請け代金の支払い条件について改善を促す。さまざまな業界に自主行動計画の策定を要請していく考えで、サプライチェーン全体での浸透を目指す。

 下請法の運用基準見直しに関しては、中小企業庁が違反行為事例の追加を公正取引委員会に提案。これを踏まえて公取委が見直し作業を進める。

 適正取引の実現に向けては、下請代金の支払い条件の改善に取り組む。例えば支払いに手形を使う場合、振り出しから支払いまでの期間が長いと、下請け事業者にとっては資金繰りの負担となる。

 中小企業庁が実態把握のために実施している「発注方式等取引条件改善調査」では、下請代金の受け取り方法が「すべて現金」と回答した下請け事業者の割合は年々増加。2015年度には、59・0%に達した。一方で、手形の利用は減少傾向にある。支払う側の事業者が事務コスト低減を狙いに手形の利用を控えているほか、現金による受け取りニーズが中小企業に多いためだ。

 ただ、自動車や産業機械・航空機といった業界では依然、慣例として手形を使用するケースが少なくない。しかも手形の割引コストはほとんどの場合下請け事業者の負担とされているなど、改善の余地が残されている。

 こうした状況を踏まえ、今回の下請法の見直しでは親事業者に対し、原則として下請け事業者への支払いを手形ではなく現金とすることを要請する。手形を使う場合であっても現金化する際の割引負担料を下請け事業者に押しつけることを抑制し、発注側である親事業者が負担するよう求める。

 手形の支払期間の短縮も要請する。下請法の通達では、支払手形の振出日から支払期日までの期間について、繊維業が90日、それ以外の業種は120日以内と定めている。このルールは維持しつつ、さらに60日に短縮するよう親事業者に要請する予定だ。

 今後の課題は、政府の方針を産業界にどのように浸透させていくかだ。世耕弘成経済産業相は「サプライチェーン全体での適正取引(の浸透)と付加価値を創出するため、自主行動計画の策定など積極的な取り組みをお願いする」と強調する。業界単位で対応強化を促すことに加え、産業界全体に波及させる継続的な取り組みが欠かせない。
(文=古谷一樹)


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日刊工業新聞2016年10月14日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
先日報じた下請法改正の続報。手形不要論もあり、良い方向だと思うが、通達や自主行動計画だけでどこまで変わるか注意しないといけない。

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