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星野リゾートが国内の空白地帯を埋める!日本人客取り込みへ施設拡大

今後数年で30施設へ。シティーホテルの新ブランドも
星野リゾートが国内の空白地帯を埋める!日本人客取り込みへ施設拡大

国内の宿泊施設を拡大する(7月にオープンした「星のや東京」)

 星野リゾートはシティーホテルや温泉旅館といった、国内の宿泊施設を拡大する。現在、国内で14施設を運営する温泉旅館ブランド「界」を、今後数年で30施設に広げるほか、都市観光などに利用するシティーホテルの新ブランドを立ち上げる。星野佳路社長は「インバウンド(訪日外国人旅行者)が伸びていても、国内市場の10%に過ぎない」とし、国内顧客の重要性を強調する。ブランドの多角化を進め、国内の主な温泉地や都市の全てに、星野リゾートの施設の開設を目指す。

 「有名観光地で星野リゾートの宿泊施設を探してもらえるようになっている」。星野社長は事業発表会で、沖縄県読谷(よみたん)村に新たな宿泊施設を開設する計画を明らかにした。時期やブランドなど詳細は決まっていないものの、星野リゾートが沖縄本島へ進出するのは初めてだ。同社は離島で二つの施設を運営しているが、顧客から「本島にないのか」という声が多く、進出を決めた。

 温泉施設では2017年4月、静岡県伊東市に「界 アンジン」を開業するほか、19年には山口県の長門湯本温泉にも界を開業。長門市との連携で、まちづくりにも参画し、長門湯本温泉全体を星野リゾートがプロデュースするビッグプロジェクトとなる。星野社長は「主な温泉地には、全て界の施設を置きたい」としており、今後数年で、空白地を埋める考えを示した。

 同社は温泉施設だけでなく、都市でも観光客を取り込む経営を強化する。17年4月に運営を開始する「旭川グランドホテル」を第1号として、シティーホテルを拡大。星野社長は「都市観光には大きな需要がある」と見る。「新しいブランドで設備やサービスを考えたい」と、差別化に向け着々と戦略を練る。

 一方、今後も海外展開に力を注ぐ姿勢に変わりない。14年9月に開業を予定していたにもかかわらず、工事の遅れなどで開業が延期になっていたインドネシア・バリ島の「星のやバリ」を17年1月20日にオープン。海外ではタヒチ島に続き、2施設目となる。だが、国内と違い、その次は決まっていないのが現状だ。

 星野社長はあくまで日本人をターゲットとしており、訪日外国人には頼らない事業展開を強調する。だが、国内はホテル不足が顕著となり、社会問題にもなっている。国内の事業強化は、結果的にこうした需要の取り込みにもつながりそうだ。
日刊工業新聞2016年10月12日
高屋優理
高屋優理 Takaya Yuri 編集局第二産業部 記者
大分の湯布院や群馬の草津など、人気の温泉地であっても、星野リゾートの宿泊施設がないところは結構あります。今後数年で、こうした空白地を埋めていく戦略です。

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