“宇宙の天気予報”観測へ!今日はノーベル物理学賞
JAXA、ジオスペース探査衛星の準備進む
宇宙航空研究開発機構(JAXA)が2016年度中に打ち上げを予定する科学衛星「ジオスペース探査衛星ERG(エルグ)」の準備が進んでいる。地球付近の宇宙空間に存在する高エネルギー粒子などを調べることが目的だ。研究成果は基礎物理の解明だけでなく、過酷な環境にある木星など今後の惑星探査のための知見となるかもしれない。
エルグは地球周辺の宇宙空間で高エネルギー粒子が多量にある放射線帯である「ヴァン・アレン帯」を探査する。人工衛星は通信や天気予報などに活躍しているが、同領域の高エネルギー粒子は、人工衛星の異常動作などを起こすことがある。
JAXA宇宙科学研究所ジオスペース探査衛星プロジェクトチームの篠原育(いく)プロジェクトマネージャは、「高エネルギー粒子の生成と消滅の仕組みが分かれば、衛星の故障の原因となるような高エネルギー粒子の増減を予測する“宇宙天気予報”ができるかもしれない。また他の惑星の探査技術開発につながる基礎になる」と強調する。
エルグの大きさは、太陽電池パドル展開前で幅1・5メートル、奥行き1・5メートル、高さ2・7メートルの箱形。電子や磁場などを観測・解析する九つの機器を搭載し、質量は350キログラム。設計寿命は1年。地球の近傍を楕円(だえん)軌道で周回する。
地球に最も近い時には上空300キロメートル、最も遠い時で3万3200キロメートルとなり、周期は10時間弱となる。
また数十マイクロ秒(マイクロは100万分の1)という高い時間分解能で高エネルギー粒子や電波を観測できることも大きな特徴。同領域で電子が作られる仕組みの解明につながる。
プロジェクトはJAXAと名古屋大学を中心に国内外の研究機関から100人以上が参加している。さらに三菱重工業、明星電気、住友重機械工業などが観測機器を製造した。
エルグは10月上旬に内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県肝付町)に運ばれ、射場での準備に入る。16年度中に小型固体燃料ロケット「イプシロン」で打ち上げる予定。
(文=冨井哲雄)
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JAXA宇宙科学研究所ジオスペース探査衛星プロジェクトチームの篠原育(いく)プロジェクトマネージャは、「高エネルギー粒子の生成と消滅の仕組みが分かれば、衛星の故障の原因となるような高エネルギー粒子の増減を予測する“宇宙天気予報”ができるかもしれない。また他の惑星の探査技術開発につながる基礎になる」と強調する。
エルグの大きさは、太陽電池パドル展開前で幅1・5メートル、奥行き1・5メートル、高さ2・7メートルの箱形。電子や磁場などを観測・解析する九つの機器を搭載し、質量は350キログラム。設計寿命は1年。地球の近傍を楕円(だえん)軌道で周回する。
地球に最も近い時には上空300キロメートル、最も遠い時で3万3200キロメートルとなり、周期は10時間弱となる。
また数十マイクロ秒(マイクロは100万分の1)という高い時間分解能で高エネルギー粒子や電波を観測できることも大きな特徴。同領域で電子が作られる仕組みの解明につながる。
プロジェクトはJAXAと名古屋大学を中心に国内外の研究機関から100人以上が参加している。さらに三菱重工業、明星電気、住友重機械工業などが観測機器を製造した。
エルグは10月上旬に内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県肝付町)に運ばれ、射場での準備に入る。16年度中に小型固体燃料ロケット「イプシロン」で打ち上げる予定。
(文=冨井哲雄)
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日刊工業新聞2016年10月3日