三菱重工、“1年後”のフォークリフト統合は吉とでるか
ニチユ三菱とユニキャリア、シナジーの最大化急ぐ
三菱重工業グループでフォークリフト事業を手がけるニチユ三菱フォークリフトとユニキャリアが、2017年10月をめどに経営統合する。両社を統括する三菱重工フォークリフト&エンジン・ターボホールディングス(M―FET)は、1年をかけて結論を出す方針だったが、半年ほど前倒した格好だ。両社合算でシェア・売上高とも世界3位となったが、さらに上位を追うには経営統合が最善と判断。生産や調達、研究開発などでシナジーの最大化を急ぐ。
ニチユ三菱は現段階でユニキャリア株式35%を保有し、持分法適用関連会社としていた。残り65%を保有するM―FETから全株式を取得して、17年1月1日付でユニキャリアを完全子会社化する。
M―FETの前川篤社長は5月時点では、「(16年3月末のユニキャリア買収完了後)両社をすぐに統合する案があったが、これは難しい。1年かけて最大の効果を考える」としていた。
フォークリフト業界では、首位の豊田自動織機が22・1%、2位の独キオングループが15・7%の世界シェアを持つ。2社を追うニチユ三菱・ユニキャリア連合は10・6%で、首位とは2倍以上の開きがある。「これをいかにキャッチアップするかがポイントだ」と前川社長は指摘する。
豊田自動織機は、インターネット通販で勢いを増す小売業者など大口顧客の囲い込みのほか、燃料電池搭載の最新鋭フォークリフトの市場投入などシェア拡大の動きを加速。またキオンも6月に、物流施設向けロボット大手の米デマティック買収を発表した。
上位の攻勢に対抗するには、早期の経営統合によるポスト・マージャー・インテグレーション(PMI、買収後のシナジーを最大化するプロセス)推進が不可欠と判断した。すでに研究開発や調達など連携の形は出始めているものの、経営統合までに課題も残る。両社それぞれに抱える複数のブランドの扱いや重複する生産拠点の統廃合などが焦点となる。
ニチユ三菱は経営統合を前に、20年度に売上高5000億円を目指す方針を掲げた。これは16年3月期の両社合算の売上高から、約700億円をさらに積み上げた数字だ。決して低くはないハードルだが、統合による経営資源の踏み込んだ相互活用や、意思決定の迅速化で目標達成につなげる。
(文=長塚崇寛、孝志勇輔)
ニチユ三菱は現段階でユニキャリア株式35%を保有し、持分法適用関連会社としていた。残り65%を保有するM―FETから全株式を取得して、17年1月1日付でユニキャリアを完全子会社化する。
M―FETの前川篤社長は5月時点では、「(16年3月末のユニキャリア買収完了後)両社をすぐに統合する案があったが、これは難しい。1年かけて最大の効果を考える」としていた。
フォークリフト業界では、首位の豊田自動織機が22・1%、2位の独キオングループが15・7%の世界シェアを持つ。2社を追うニチユ三菱・ユニキャリア連合は10・6%で、首位とは2倍以上の開きがある。「これをいかにキャッチアップするかがポイントだ」と前川社長は指摘する。
上位2社の壁は高い
豊田自動織機は、インターネット通販で勢いを増す小売業者など大口顧客の囲い込みのほか、燃料電池搭載の最新鋭フォークリフトの市場投入などシェア拡大の動きを加速。またキオンも6月に、物流施設向けロボット大手の米デマティック買収を発表した。
上位の攻勢に対抗するには、早期の経営統合によるポスト・マージャー・インテグレーション(PMI、買収後のシナジーを最大化するプロセス)推進が不可欠と判断した。すでに研究開発や調達など連携の形は出始めているものの、経営統合までに課題も残る。両社それぞれに抱える複数のブランドの扱いや重複する生産拠点の統廃合などが焦点となる。
ニチユ三菱は経営統合を前に、20年度に売上高5000億円を目指す方針を掲げた。これは16年3月期の両社合算の売上高から、約700億円をさらに積み上げた数字だ。決して低くはないハードルだが、統合による経営資源の踏み込んだ相互活用や、意思決定の迅速化で目標達成につなげる。
(文=長塚崇寛、孝志勇輔)
日刊工業新聞2016年10年3日